K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1048) Paul Motian: Tribute (1974) もっとオーネットが知りたくなってきた

Tribute

[ECM1048] Paul Motian: Tribute (1974)
A1. Victoria (Paul Motian) 5:25
A2. Tuesday Ends Saturday (Paul Motian) 6:39
A3. War Orphans (Ornette Coleman) 7:28
B1. Sod House (Paul Motian) 9:51
B2. Song For Che (Charlie Haden)
Paul Motian(perc), Carlos Ward(as), Sam Brown, Paul Metzke(g), Charlie Haden(b)
Design [Cover Design] : B & B Wojirsch
Photograph: Roberto Masotti
Engineer [Mixing Engineer] : Martin Wieland
Engineer [Rec. Engineer] : Tony May
Producer: Manfred Eicher
Released:1975
Recorded May, 1974 at Generation Sound Studios, New York City

https://www.ecmrecords.com/shop/143038750665/tribute-paul-motian
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その後のモチアンバンドの編成、往々にして2ギターとサックス、はここからのようだ。カルロス・ワードはドン・チェリーやダラー・ブランドと共演していた頃。ふーむ。

[2015-12-08]

1974年春のアイヒャーの米国録音シリーズ。リーブマン、クロンビーに続く3枚目。やはり音はECMらしく仕上がっている。内容も3枚のなかで、最もECM的。モチアンもヘイデンも、内省的な演奏だし、ビートよりも浮遊するような音、を指向する点でも。

ECMでのモチアンの前作には、キース・ジャレットが加わっていたのだけど、今回は抜けている。モチアン、ヘイデン、サム・ブラウンがもとのキースのバンド。そこにギターもう一本とアルト。ギター2本が前に出て浮遊しているあたり、後年のElectric bebopバンドみたい。サム・ブラウンはジャズ・ロックのテケテケ音の奏者って理解で「全く」好みじゃないのだけど、このアルバムではどっこい、いい感じの美音や浮遊感を出していて、やるじゃないか。その後聴かないし、どうしたのかと思って調べたら、この数年後にこの世を去っていた。

二本のギターが浮遊するなかで、芯を与えているのはヘイデンのベース。実はヘイデンのリーダ作とも思えるくらいの内容。モチアンのドラムは、やや引っ込んだ感じになっていて、あまり印象に残らない。ヘイデンを聴くため、のアルバムになっている。そして見逃せないのは、全体的にオーネット・コールマンの音楽の影響下にあるということ。その意味で、やはり当時のキース・ジャレット・グループと同じ音空間の音楽だと思う。それがECMらしく聞こえる、ということなんだろう、と思う。フリー・ジャズの元祖的な説明が多いオーネットなのだけど、破壊という側面というよりは、より美しい音を求め、音のスキームそのものを変えたような位置付けなんだろうな、と思う。このアルバムを聴きながら、もっとオーネットが知りたくなってきた。クロイドン・コーサート以降の、そしてプライム・タイム以前の、そのあたり。

参考記事:

https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2005/07/tributepaul-mot.html

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