K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1173 )Ralph Towner: Solo Concert (1979) 音響過多の作り込み

Solo Concert

(ECM1173 )Ralph Towner: Solo Concert (1979)
A1. Spirit Lake (Ralph Towner) 8:43
A2. Ralph’s Piano Waltz (John Abercrombie) 7:04
A3. Train Of Thought (Ralph Towner) 5:30
B1. Zoetrope (Ralph Towner) 6:00
B2. Nardis (Miles Davis) 5:12
B3. Chelsea Courtyard (Ralph Towner) 6:53
B4. Timeless (John Abercrombie) 4:54
Ralph Towner(12 String g, Classical g)
Artwork [Cover Art]: Michel Delprète
Design: Barbara Wojirsch
Engineer [Tonstudio Bauer]: Martin Wieland
Producer: Manfred Eicher
Recorded October 1979 during concerts in München (Amerika Haus) and Zürich (Limmathaus)

https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750921/solo-concert-ralph-towner

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タウナーをはじめて聴いたとのは、diary。トリオレコードからの廉価盤だった。40年前のこと。内省的なギター、添えられたピアノが美しい。その後はECMからのオレゴンも良く聴いたかな。新しいダイアトーンのスピーカを買った頃だから、30年前かな。

間違いなく音響の良さ、のようなものに惹かれていたし、それは、今も変わらないかもしれない。

このソロコンサートをはじめて聴いたのは10年近く前、レコード蒐集を再開してからだけど、同じ印象。かなり多くの音を使ったコンサートに圧倒された。最近、カートリッジを更新したから、聴き直そう、と思ったのだ。

今朝聴くと、その印象の変容(大袈裟な!)が面白い。音は多いのだけど、そんなに緊迫感も感じないし、緩い。残響音は過多。だから演奏の音の芯のようなものが緩んでいる。細部が粗い、とも聴こえる。キレが悪い。アコウスティック感を増感して、細部のeffectがそれを砕いている。ムード音楽として、少し音量を落とした方が良い。

diaryの場合は曲を聴かせることで、過度の甘さには陥っていない。このアルバムはギターを、音響を聴かせようとして、何かバランスを崩している。ECMのアルバムで感じる、イヤな作り込み感。

じゃあ10年くらい前と何が変わっているのか。クラシックを聴くようになったこと、そしてベイリーらのimprovised musicを聴くようになったこと。ともに一音の強度が強い(音量という意味でなく)世界だ。ECMは、ジャズを核として、クラシックともimprovised musicとも境界を融合させたような音の世界観なのだけど、だからその按分のようなものが違うと、こんなことになるのだろうな、と思う。タウナー自身は音の強度や速度感は緩い。だから曲をシッカリ作るOregonのアルバムで映えるように思う。

今朝、聴いてそんなことを考えていた。このアルバムは1979年の録音。ECMは10年目。今のECMのある種の傾向が出ていたのだな、と思う。

ECMのレコードを集めたのだけど、なかなか聴けていない。1969年から聴き進めて、1976年あたりまでのECMの音が形成されるまでの変遷はとても面白かった。しかし安定期に入ると、そのような聴き方ができなかったから止まっていた。このような音響過多の作り込み、がいつ頃からかな、と思った。もう少し聴こうかな。

ソロ・コンサート

ソロ・コンサート