K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Eric Dolphy: Far Cry (1960) 管にピタッと焦点を当てた感じが凄くいい

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Eric Dolphy: Far Cry (1960, New Jazz/Prestige)
A1. Bird's Mother (Byard) 8:00
A2. Ode To Charlie Parker (Byard) 8:45
A3. Far Cry (Eric Dolphy) 3:50
B1. Miss Ann (Eric Dolphy) 4:15
B2. Left Alone (Mal Waldron) 6:40
B3. Tenderly (Lawrence, Gross) 4:15
B4 It's Magic (Cahn/Styne) 5:35
Eric Dolphy(as, b-cl, fl), Booker Little(tp), Jaki Byard(p)m Ron Carter(b), Roy Haynes(ds)
Engineer: Rudy Van Gelder
Supervised by Esmond Edwards
Recorded: Dec. 21, 1960

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SPU MONOでモノラル聴きを愉しんでいる。太い音、距離の近さ、がよい。重針圧なので、当時の音盤の溝にがっちり嵌まるのだろうな。

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保有盤は初期のプレスでなく、1964年以降の「紺レーベル」。勿論、ヴァン・ゲルダーが起こしている盤なのでRVG刻印あり。でも、そんなに高価でない。

さて同じヴァン・ゲルダー録音といっても、ブルーノートとは違うな、といつも思う。このレコードの場合、残響が少し強めでホーンの響きが美しい。リズム・セクションはオフ気味、特にピアノは弱い。だけどドルフィーの管にピタッと焦点を当てた感じが凄くいい。ロン・カーターの堅実な刻み、ロイ・ヘインズのキレの良さも。バイヤードは妙に音数が多い割に、って思っているのだけど、この盤では至って普通。音数も少なく、それだったらもう少し「ヘン」であったほうが良かったか、とか思って聴いている。

この盤の一番の問題はブッカー・リトルが立派なソロを吹くこと。彼が入ったトラックでは、ドルフィーから重心がズレる感じが、面白くない。立派なのだ、ラッパが。結局、ドルフィーの変な音が好きなので、リズム・セクションも目立たなくてよい。Last Dateが素晴らしいのは、目立たなくてよいリズム・セクションが、ドルフィーを裏焼きしたような「ヘン」、しかも端麗の「ヘン」なので、全体としての不調和な調和がとてつもなく素晴らしいこと。じゃなければ、In Europeのようにドルフィーに鋭く焦点が合っているほうが嬉しい。

そう、この盤にはそんな中途半端感があるのだ。

FAR CRY + 2

FAR CRY + 2

 

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