佐藤允彦: Transformation '69/'71 (1969/1971, Express==>Think records)
1. Tigris (Masahiko Satoh) 7:12
2. On A Clear Day (You Can See For Ever)(Alan Lerner, Burton Lane) 7:47
3. Transformation Part 1 (M. Satoh, M. Togashi, Y. Arakawa) 15:10
4. Transformation Part 2 (M. Satoh, M. Togashi, Y. Arakawa) 3:42
佐藤允彦(p), 荒川康男(b), 富樫雅彦(ds, perc)
Producer, Liner Notes: 瀬川昌久
Recorded on March 17, 1969, March 20, 1969 and March 2, 1971.
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ついに念願のレコードを入手した。
パラジウムから、さらに純化した佐藤允彦トリオの音の結晶。
昨夜、針を降ろしてから終演まで、気持ちを持っていかれるばかり。レコードで聴く時間が愛おしい、と久しぶりに思った。まさに聴きたい音、の中心に当たってくるのだろう。当時の佐藤允彦トリオの音は、その後のECMの音を先取りしていて、確かに洗練されたアヴァンなジャズの最先端だと再認識した。菊地雅章の銀界とともに。
[2019-07-05]
1969年のパラジウムを聴くと、確かにECM的な音空間というのか、ポール・ブレイ的な音空間が見事に結実していて、それでいてブレイやコリアの複写と感じることはなくて、佐藤允彦達の音であることに驚いていまう。フリージャズ的な香辛料は効いているのだけど、そのアクセントが彼ら自身の自然な表現に感じられるからだ。それまでの日本のジャズに感じた「本場のジャズのコピー臭」のようなものが見事にない。
そんな佐藤、荒川、富樫のトリオをもう少し聴きたい、というためのアルバム。しかも、富樫が「事故」により、下肢の自由を損なう前後の演奏。興味津々だった。
佐藤允彦:Palladium - Music/Book Log
しかしレコードは極めて高価。またディスクユニオンからの再発CDも案外入手が難しかったのだけど、何とか入手。
1969年の1,2(レコードのA面)はまさにパラジウムと同じ世界。リリカルなピアノに鋭利なドラムがドライヴする。ベースのパターンが曲として良く編曲されていることを知らせる。佐藤允彦のピアノは響きが良く制御されていて、時折、美しい高音がブロウする快感に痺れる。そのあたりが同時期に立ち上がったECMの音空間を想起させるのだと思う。美しい。
1971年の3,4(レコードのB面)ではフリー的な色彩が強くなる。まさにコリアのARCと近しい感じ。驚くのは下肢の自由を失った富樫の在り方が1969年からの強い連続線にあること。表現すべきものに「ブレ」がなく、またそれを強い身体の制限を破って表現する力量、に驚いてしまった。いや凄いアルバムだ。
- アーティスト: 佐藤允彦トリオ,佐藤允彦,荒川康男,富樫雅彦
- 出版社/メーカー: Think! Records
- 発売日: 2011/10/19
- メディア: CD
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