K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・雷光のあと静かな夏のはじまりを過ごす週末


金曜日:夜半,雷雨とともに過ごす
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金曜日の昼間,自転車を漕ぎながら汗を拭うと,医王山の方角に大きな白い雲が低層から高層へ向けて沸き上がり,いよいよ梅雨明け間近の予感に溢れていた.気がつくと,公園の大きな櫻の木のほうから油蝉が煩く聞こえてきた.でも夕刻には低い雲が流れてきて,日没よりもはやい勢いで暗くなっていった.そんなに簡単には梅雨が明けないような気がした.

その夜は友人たちとジャズを聴きながら呑み続けた.数日前から,食事の準備をあれこれ考えたり,LPレコードを棚から出したり入れたり順番を入れ替えたり,そわそわしながら準備をした.出かけるのが億劫な梅雨の夜にそんなことをして過ごすのは楽しい.夏を迎える候なので冷たい酒肴を並べたいと思い,加賀太胡瓜のあんかけ,鰹出汁で煮茄子の素麺添え,鰯の生姜煮,を呑む前日にこさえて冷やしておいた.持込の料理もあり,思いの外,豊かな食卓となった.他愛のない話をし,邪魔にならないジャズピアノのLPレコードをまわし続けた.古いLPレコードを何枚も何枚も聴いた夜半過ぎ,雷が鳴り始めた.高まる湿気が凝固点に達し一気に天蓋から落ちてきた.裏の竹藪が閃光とともに浮かび上がる.冬に負けじ劣らじの雷鳴を聞きながら,友人たちとともに梅雨の終わりを知った.窓を開けて雨を眺めながら呑み続けた.ときに風が冷たい.とても気持ちのよい夜半過ぎの酒宴となった.友人たちが帰ったあと,いつの間にか木星が煌いていた.

朝早く新聞配達の音で気がつき外を眺めると,雨の後の大気はとても清澄で,竹藪の外縁が強いコントラストを呈していた.とても爽やかな朝で,梅雨のおわり・夏のはじまりをしっかり意識できたのは子供の頃以来じゃないかなあと,ぼんやり考えていた.その日も公園の油蝉を聞きながら自転車を漕ぎながら,仕事のために寺町台地を下り・上った.日没の頃には半月が浮かび,再び満ちていく日々を予告していた.

そんな静かな夏のはじまりを独り過ごす時間が楽しく,今朝も窓を空け,香を炊いて部屋の空気の流れをぼんやり眺めていた.低い音で聴くピアノの音も,情緒過多を誘わず気持ち良い.4時半に眼が醒めてから卯辰山と医王山の間に朝日が昇るまで空をみていたが,雲の色の変化が綺麗だった.夏のはじめなのだけど,秋が近づいている感覚があったのは何故だろうか,と思った.こんな夏のはじまりを過ごすことができて嬉しい.


金曜日:夜半,雷雨とともに過ごす


土曜日:満つる予感に溢れた月を眺める夕刻


日曜日:秋のような雲が流る夜明け頃