K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ECM: Dieter Bonhorst

(ECM1084) Eberhard Weber: The Following Morning (1976) どう聴いても彼の音楽

時間とともに変容する奏者、そうでない奏者がいる。エバーハルト・ヴェーバーは決定的に後者で、どう聴いても彼の音楽である、という印象は決してエフェクタを通したエレクトリック・アコウスティック・ベースの音色、だけによるものではない。 むしろ作曲行…

(ECM1083) Terje Rypdal: After The Rain (1976) 「あの奇妙な味」の世界を静謐に語り続ける

最近、強く思うことは、ジャズがジャズであるその大切な要因は、「奇妙な・違和感のある味」を感じさせることではないだろうか。決して即興とか、グルーヴでも、スウィングではない。フリー・ジャズも口当たり良く、スムースになったハード・バップへのアン…

(ECM1082) Arild Andersen: Shimri (1976) かつての欧州ジャズの脆弱性

アンデルセンの前作のときもそうなのだけど、聴いたときの印象を書くことができなくて、このシリーズ(ECMのレコードを聴く)が滞っている。今回も同じ。一月以上、なんか書く気が起こらなかった。 なぜだろう。確かに美しい音楽なのだけど、それ以上のもので…

(ECM1079) Jack DeJohnette: Pictures (1976) ドラムと打楽器の間を漂いながらも

ジャック・デジョネットのソロ、の性格を持ったアルバム。自身のピアノやオルガンとの多重録音もあるし 、クロンビーが加わったトラックもあるが、デジョネットのドラムを中心に据えて、その魅力、ビートの鋭さ、打音の美しさ、を伝えている。 欧州の奏者は…

(ECM1077) Edward Vesala: Nan Madol (1974) エキゾチックで不思議な音空間

ECMを聴く安心感、はアイヒャーの音世界がある種の予定調和のなかにあって、様々なジャズ周縁の音の断面を見せてくれて、新鮮な驚きを与えてくれる確信、から来ることは間違いない。1970年代から80年代、リアルタイムに感じたECMはそんな感じで、今、それを…

(ECM1073) Pat Metheny: Bright Size Life (1975) 伸びやかに音を繰り出すジャコ

これがPat Methenyの実質的なデビュー作。ギタートリオのシンプルな構成ながら、従来のジャズ・ギターに収まらない味を出している。バートンのジャズ・ロックやフォーク的な味をもっと洗練し、ジャズのフォーマットに織り込んでいるような感じ。 改めて聴い…

(ECM 1072) Gary Burton: Dreams So Real - Music Of Carla Bley (1975) 今の音、昔の音

今の音、昔の音が入り乱れたアルバム。全体的にはその後のパット・メセニー・グループやバートン自身のアルバムの音の比率が高い。1960年代を引きずるジャズ・ロック的は味は、大分減ってきた。彼らがすすめていたジャズ・ロックを今聴くと、ちょっと耐えら…

(ECM1071) Tomasz Stanko: Balladyna (1975) 何とも生彩を欠いた

何とも生彩を欠いた、Free Jazz。躍動がある訳でも、音空間が構築される訳でも、ない。 ホランドのベースを核に、点描のように管の音が加えられるが、印象が薄い。 このアルバムはそんなに珍しいものでもない、と思うが、存外にDU店頭で高価だった記憶がある…

(ECM1070) Keith Jarrett: Arbour Zena (1975) 今になって聴くと

1979年か1980年に購入して1度聴いて、それっきり。まともに対峙していない。キースの「色物」のような扱いで放置していた。当時は、ストリングスも苦手で、さらにジャズの匂いの強いものを求めていったから。最後にはキースのアルバムそのものを聴かなくな…

(ECM1066) Eberhard Weber: Yellow Fields (1975) ささやかな疑問

ささやかな疑問、がある。1979年にジャズを聴きはじめた頃にこのアルバムを聴いて、今のように楽しめただろうか。 残念ながら、そのように思えなくなっている。今、のボクが楽しめているような感覚がある。 このアルバムを聴いていると、1975年から1976年当…

(ECM1060) Ralph Towner: Solstice (1974) 1年経って聴き直し

1年経って聴き直したが、印象は変わっていない。 ECM1061、ECM1062の前哨戦になっている、ことがわかった。メンバーはヴェーバーやクリステンセンだけど、ECMらしいビートの在り方、が冒頭からキマっていて、ECM1061、ECM1062への太いつながりを感じた。---…

(ECM1062) Collin Walcott: Cloud Dance (1975) 観念的過ぎない、素晴らしい浮遊感

ECM1061に続いて、いいアルバムだなあ。すっと音がはいってくるアルバム、そうでないアルバム、すっと音がはいってくる時、そうでない時。音の出口と入口の微妙な「噛み合わせ」。それが難なく通過して、体幹を音が貫く感じ、が幸せだと思う。 多分、ECM1061…

(ECM1061) John Abercrombie, Dave Holland, Jack DeJohnette: Gateway (1975) 1970年代後半のECMの魅力

アバークロンビーの前作Timelessから1年経たず、で録音されたアルバム。ヤン・ハマーのオルガンに換え、デイヴ・ホランドのベース。creditを見るとわかるが、ホランドの曲が中心。聴いてみても、ホランドが与える切れ味の良いロック的なビート、フリージャズ…

(ECM1058) Steve Kuhn: Ecstasy (1974) ピアノ職人の技

ECMの実りある1974年の録音も終盤になってきた。前作のTranceと同時期の録音。ただし、Tranceは米国録音、こちらはオスロ。やはり、音はこちらのほうが遙かに美しい。 アルバムのタイトルが Ecstasy。前作のTranceといい、日本の某レーベルのエロ・ジャケッ…

(ECM1045) Terje Rypdal: Whenever I Seem To Be Far Away (1974) 北欧の空気感

Terje Rypdal(g), Mladen Gutesha(cond), Südfunk Symphony Orchestra, Christian Hedrich(viola), Helmut Geiger(vln) Recorded 1974 in Oslo (A1, A2) and Ludwigsburg (B).