K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1084) Eberhard Weber: The Following Morning (1976) どう聴いても彼の音楽

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 時間とともに変容する奏者、そうでない奏者がいる。エバーハルト・ヴェーバーは決定的に後者で、どう聴いても彼の音楽である、という印象は決してエフェクタを通したエレクトリック・アコウスティック・ベースの音色、だけによるものではない。

 むしろ作曲行為の在り方、曲の印象が安定していて彼そのもの、だと思う。既に半身不随となった今、仲間の力を借りて出された一昨年のアルバム・オマージュと何ら変わらない音の世界を1970年代のアルバムに確認することができる。

 このアルバムはベースとピアノの2人のジャズ奏者に、オーケストラの幾つかのパートが加わった編成。ECMらしい。しかも精緻に組み立てられた編曲であり、ベースとピアノが奏でる音は、ヴェーバーらしい音であって、従来の意味でのジャズ的なものはあまり感じない。ジャズの語法も編曲の中で溶け込んでいる。そうであっても曲の印象が極めて現代的なジャズで、時代の隙間を感じさせない。むしろ、1970年代にどう聴こえたのか気になるのだ。残念ながら、ボク自身は最近(ここ10年)まで彼の音楽を聴いていなかった、のだけど。

 初期のジャコの音楽と共通する「ある種の匂い」を感じるのだけど、ジャコは発展どころか維持できなくて破綻をきたす。ヴェーバーは発展させようと思ったかどうか、全く感じさせなくて、 淡々と自分の音を出し続けている。才気煥発させない才、のある人なのだと思う。 

Following Morning

Following Morning

 

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(ECM1084) Eberhard Weber: The Following Morning (1976)
A1. T. On A White Horse( Eberhard Weber)10:52
A2. Moana I( Eberhard Weber)10:10
B1. The Following Morning( Eberhard Weber)12:04
B2. Moana II( Eberhard Weber)7:42
Eberhard Weber(b), Rainer Brüninghaus(p), Members Of Philharmonic Orchestra, Oslo(cello, Fr horn, Oboe)
Layout: Dieter Bonhorst
Cover Design: Maja Weber
Photograph: Roberto Masotti
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer : Manfred Eicher
Recorded August 1976 at Talent Studio, Oslo
Released: 1977

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