K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

2012-01-01から1年間の記事一覧

菊地雅章: End For The Beginning

昨日、レコード市で入手したのは End For The Beginning (1973)。二管をフロントとしたライヴ盤。富樫雅彦のSong for myselfのような世界観。日本のジャズとしか云い得ない音が、ポール・ブレイのような冷ややかな音色で綴られている。熱狂からは遠い、眼に…

Ketil Bjornstad, Terje Rypdal : Life In Leipzig (2005) モノクロームの風景のなかで

ボクは全く気にならないのだけど、北陸の冬が嫌だ、というヒトはまわりに多い。非北陸のヒトが多い仕事場なので。11月に入ると雷鳴が響き、幕布が落ちたように天と地のあいだが遮られる。それから数ヶ月、モノクロームの風景が広がる。朝は淡く白く煙ったよ…

朝日のなかに浮かび上がる白き山を見つめる日々

昨年3月に犀川南の寺町台地から、犀川北岸の河岸段丘、二段ある段丘の一段めに引っ越した。随分長い間、市街地近くで白山が見える場所を探したような気がする。結局、中心地から犀川沿いに競り上がる河岸段丘の崖に立つ集合住宅に移った。 この地から見る白…

Nik Bartsch's Ronin Live (2011-2011) 音のrecursive algorithm

頑強に計画された音楽だ。その強度は音のrecursive algorithmへの偏執的な拘りからやってくる。何ら情緒的な訴求を伴わない波動の循環は結局のところ、極く低音の揺らぎの心地よさだけを残していく。 どんな精密な電子機器であっても、その励振周期が微妙に…

金沢・柿木畠「レコードビーチパーティ」 寒風吹くの日曜に出かけた

12月に入ってイソガシイ。特に気分が。だから文章を書くキモチの余裕を何処かに落っことしたままになっていた。 それに買ってきたLPレコードに針を落とすことに躍起になっていて、山積みになっていたレコードも随分減ってきた。衝動買いのような集め方だか…

LPレコードにまみれる日々

日曜日の夕刻にディスクユニオンからLPレコードが届いた。およそ80枚。たまたま横浜店のバーゲンとあたり、随分と買い込んだ。溢れるように聴きたいものがある状況なので、空き時間はひたすら聴いている。 入手したパット・マルティーノのLive!を何回聴いた…

情熱のピアニズム:奏者の音は聴くモノであって見るモノではない

34年前にジャズを聴きはじめた。そのころのジャズスターはハービー・ハンコック、チック・コリアであり、キース・ジャレットでありウェザー・リポート。既にキャリアが10〜20年級のスター。そんな時分、同世代の新人、それもフランスのピアニストが脚光を浴…

台湾・台北「晋江茶堂」客家料理ははじめて

MRT古亭駅の近く、古い日本家屋を使ったなかなかの風情の料理屋。接客の店員の醸し出す空気は台湾そのもの。ゆったりと優しい。食べる前からまったりしてしまった。 客家は漢民族の一つ。戦国時代の中原(洛陽あたりの中心地)に源があり、戦乱で追い出され…

台湾・高雄・愛河:冬の熱帯で走る

北回帰線の南は熱帯だそうだ。台湾の南部を北回帰線が貫いており、高雄はその南。熱帯にやって来たことになる。ことになる、と意識して書くのは肌寒い気温のため。バンコクと同じ調子で半袖ばかり持参したので、体を冷やしてしまった。勿論、日本の冬とは比…

台湾・西部幹線:曖昧な熱帯の冬空のもと高雄から台北まで

嘉義は北回帰線の上にあるそうだ。亜熱帯と熱帯の境界

台湾・高雄:寒い熱帯にやってきた

やっぱり台湾はいいなあ、と思う。記憶にも残らない、生まれたばかりで別れてしまった兄弟のような国。顔も名前も分からないし、言葉さえも通じないのだけど、薄い膜の向こうにいるような肉親のような感覚。 とりわけ若い世代を見る程、そのような感覚が沸き…

笠井紀美子:Butterfly (1979)を再び、LPレコードで買い直した

夏の出張で四日市に出かけて、街角の中古レコード屋で何枚か買ったことを契機に、近所の若きS君の音源に煽られて(彼が煽るのではなく、音源がね)、LPレコード熱が高まったまま。70年代から80年代の音盤、つまり買い漏らしたものを再び気にしている日々。概…

Gargery23:東京・湯島「太陽と星のバー」で呑んだ黒ビールと浅川マキ

ガージェリーと云うビールのようだ。新潟県で作られている飲食店向けのみのビール(Kさん 情報ありがとう)。割と黒ビールは好きなのだけど、甘い感じのものは好きじゃない。 御茶の水でLPレコードを沢山掴んだ後、暫しホテルで仕事。夜半前に喉が乾いたので…

御茶の水:辛抱が足りない日々

この1週間余、とても仕事が込み合っていた。ブログも放置状態だった。今週後半から来週にかけて仕事で出かける予定を詰め込んだので大変。それに呑む話も多い時候。(コメントを放置して失礼しました) ここ数日は関東で用事があるので、昨夜はお茶の水。勿…

渡辺香津美「ジャズ回帰Duo 2012@金沢もっきりや」こんな日のために長く聴いていたような

30年以上前にはじめて聴いたジャズはピアノが中心。ギターを聴きはじめたのは1年くらい後。大学の同級生だけど、教室では見かけないM君からジム・ホールのベルリンを借りてから。彼は授業には出ないのだけど、我が大学が誇る軽音楽部のギタリスト。ギター…

近藤等則:Club new light(1993) あの時間の缶詰

音が、時間と、そのときの空間の肌触りと、そして裏側から皮膚に貼りついたような内面の焦げ具合の栞となることがある。 あれは20年近く前。仕事に熱中している時分。涌き上がる力に自惚れていた頃のこと。 明け方に何かを書いていた。多分、論文か何か。集…

澁澤龍彦:ねむり姫(1983、河出書房新社)死と生の垣根が払われた後、そして古書の余録

先週の土曜日にオヨヨ書林で求めた古書。澁澤龍彦の名前って、子供の頃の裁判沙汰もあって、なんとなくエロのイメエジがある。高丘親王航海記は随分前に読んだのだけど、その他はつい最近。トシをとってきて実感してきたことは、死と生の間には相応の距離感…

この数ヶ月入手したLPレコード(4) 管、弦、その他

レコード棚を整理したいので、集めてある未整理レコードをちゃんとしたかった。そんな訳でスミマセン、これは備忘録。最近の趣味が分かって頂けるかと存じますが..

この数ヶ月入手したLPレコード(3) ピアノ

要は備忘を書いているだけ。混ぜちゃうと、聴かなきゃいけないレコードが分からなくなるから。CDはiTunesで追加日を管理できるけど。LPはできないからね。

Claudio Arrau: Debussy集/Suite Bergamasque他(1991) アラレやミゾレが降り出す候になって

驚いた。新譜じゃないのだけど、今年手にしたCDのなかで抜きん出た1枚ではなかろうか。圧倒的な音の存在感、美しいという言葉では語り尽くせない美しさ。内的な官能性がとても高く、気持ちの奥底から揺さぶられ、音が終わった後、自らの周囲がまったくの空…

Pat Martino: Alone Together(1977-78) デュオという名のソロ

最近は古いLPレコードに熱を上げているのだけど、新しい録音も最低限の目配りをしている(積り)。 先日、マルティーノの新譜を見つけてあわてて買ったのがコレ。到着前に工藤氏のブログを見て愕然。古いプライヴェート録音で音質も今ひとつ。あれまあ。 そ…

金澤・長町「オヨヨ書林せせらぎ通り店」 内田百けん*全集を手にした

長雨の後、土曜の宵時分にようやく上がった。少し体を動かす代わりに自転車で用事を片付けついでに、泉野の隘路をぐるぐると走った。そして櫻坂を下りようか、蛤坂を下りようか、少し考えたのだけど、旧い往還の空気を感じたかったので、鶴来街道を上って蛤…

チブリ尾根下部の紅葉(市ノ瀬のあたり)

11/4の別山登山は紅葉の森の中を歩くことからはじまって、そして上部は積雪のなかを歩いた。チブリ尾根避難小屋まで下降して14:30。もう陽が傾き、赤味を帯び始めていた。天候は1日中良好で、チブリ尾根下部の広葉樹林は残照のなかにあった。またとない機会…

別山(2399m):秋のお仕舞いに冬のはじめを味わった

この間まで夏だったのだけど、秋を味わった感触も薄く、唐突に冬への坂路を転げている。この2週間、天候は不安定で雨、雷、霰が波状にやってくる。そんな荒天続きの合間、11/4終日、ウソのように晴れ渡った。その僅かな隙間を狙って、積雪期を前に、今年最…

昨日届いたLPレコード

ひょんなことからオークションを覗いてしまった。なかなか入手し辛いLPレコードが沢山あるではないか。 という軽い熱狂にはまってしまった1週間。何たることだ。やれやれ。 そんな訳で昨日届いたLPレコード。1970年代の日本のジャズを中心。深みに落ちてい…

浅川マキ:ちょっと長い関係のブルース(1985) 膝を抱えるような気分で。

明るい月夜だったのに、夜半過ぎから雷が鳴りだした。暗い部屋でレコードをターンテーブルに載せたまま眠ってしまった。カツっというかすれたような衝突音の繰り返しで眼が覚めた。レコードのレーベルの端をなぞり続けていた。とても寒かった。レコード針を…

ITS: It's wonderland(1981) ぐっと時代を思い出す

昨夜呑んでいたら、この急激な斜陽感はなんだろう、まずいねって話題。静かな月夜にしんみりとしてしまった。しんみりしたあとに、したたか酔ってしまったのだけど。 嵐の朝、雷鳴のなかで聴いていたのは、30年前の明るいコーラス。当時、NHK-FMのセッション…

臺北:10年ぶりに訪れて感じた事

21世紀に変わった暫く後、仕事で台湾の新竹に出かけた。世界最大の半導体生産拠点。その頃、既に多くの米国半導体会社は自社生産の打ち切り、台湾への生産委託を発表していた。その関係で台湾の半導体生産の調査に出かけたのだ。最近になって、多くの日系半…

金沢「レコードジャングル」業は深い

業は深い。随分長い間、通電されていなかった音響装置も、日々紡ぐ音が柔らかくなるとともに、LPレコード蒐集癖が熱くなってきた。なんとなく価格帯が合わないと思って、出入りしていなかった金沢のレコード屋に出かけてみた。近江町市場近くの「レコードジ…

インド・Taj Mahal周辺の街角:過剰という言葉そのものの街中を眺めていた

10月のはじめに出かけたインドでの写真。 ボクは空調の利いたマイクロ・バスのなかから、過剰という言葉そのものの街中を眺めていた。最新の乗用車から馬車、牛車まで走る。掘っ立て小屋から高層ビル。螺旋状にセリ上がっていく時間が物体として陳列している…