K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Evan Parker: At The Finger Palace (1978) 楽器表現の極北

30年振りにレコード盤に針を載せた。ある時期から、この手の音楽は全く聴いていない。 改めて聴いてみて驚くのは、今、聴いてみると音の洪水、という程でもないし、むしろ楽器の限界まで音を出す行為がとても生々しく、面白く聞こえる。ジャズという音楽ジャ…

南向きの窓から

南向きの窓からの光景が好きで、崖っぷちの集合住宅に住んでいる。 いつも山を眺めながら、レコードを聴いている。珈琲を淹れれば、なおよし。そんな日々なので、あまり出かけたい、と思わなくなってきた。 特に冬の光景が大好きで、日々、いや時々刻々と移…

冬至を過ぎると

冬至を過ぎると、日々感じる速度で春へ向かっていく。水はますます冷たくなるのに、緩んだときの感触が気持ちの奥底に蘇ってくる。 明度、のようなもの、明るさ、とでも云おうか、光の総量が目立って増えているような感触。いよいよ冬本番なのだけど、感情の…

Mal Waldron: Spanish Bitch (1970) 日本でしか発売されなかったECMのアルバム

ある時期、日本でしか発売されなかったECMのアルバムがある、と知った。コンピレーションのような企画盤ではない。マル・ウォルドロンの好盤。 ECMの第一作が1969年。アイヒャーのプロデュースではない、マルのFree at Last。 その数ヶ月後で同じスタディオ…

(ECM1059) Arild Andersen: Clouds In My Head (1975)ジャズで味付けをした欧州の音、のような感覚

久しぶりにECMに還ってきた。かなり菊地さんにハマっているから、少し手薄。また仕事が年度末で多忙、また移動が多く、LPレコード聴きはなかなか進まない、のだ。 1975年までコマが進んだ。もう安定したECM。録音もECMそのものなのだけど、今と比べると残響…

昨日届いたLPレコード

この2枚に共通点がある。1970年頃のゲーリー・ピーコック在日時の吹き込み。菊地雅章さんとのセッション「銀界」と「ポエジー」の素晴らしさ、に魅入られた。彼らの協調・競調から浮かび上がる音、のみならず、彼のベースの力強さ、も香しい。で、レコードに…

渡辺貞夫: Songbook (1969) 70年代の熱気に向けて

随分前に名古屋・大須の中古レコード屋で格安で購入して、放置していたもの。菊地さんが入っているなあ、と聴いてみた。 B面のお仕舞い方のパストラル以外は2分前後未満の短いトラックが多数。テレビ番組で使った音、だそうだ。聴いていて、短さや曲調(多く…

かえってきた

茫洋と夜が明けてくる様を数日ぶりに眺めていた。 湿気を孕んだ冷たい風に吹かれる。気持ち良い。

機内でみた映画

加齢とともに眼と耳が弱っている。読書と映画はそんなこともあって、あまり集中できない。記憶力の問題も大きいかも知れない。音楽を聴くって、瞬間瞬間の刹那的な快楽の追求なので、加齢の影響は少ないのかもしれない。 それはさておき、国際線に乗ると映画…

Austin: Sullivan's テキサスでの肉食

オースチン最後の夜、夕食にステーキを食べに行った。やはり米国は肉食の国。美味い。 40代の頃、頻繁に米国へ出張していた頃、楽しみだったのは東海岸のシーフードとテキサスのステーキ。テキサスの会社の連中と巨大なTボーンステーキを食べたのは懐かしい…

Bill Evans: The complete Village Vanguard Recordings (1961 ) 幾つめの音源だろうか

幾つめの音源だろうか。Waltz for Debby。LPレコ−ドは、昔買ったビクター盤、Milestone2枚組のVillage Vanguard Recordings、亡父のOJC盤もあったような気がする。勿論CDもあって、更にDL販売の高分解能音源(96kHz、24bit)。さらにはモノラル・プレスのLPレ…

Austin: Waterloo records LPレコードの復権

オースチンのダウンタウンでwalking distanceのレコード屋はここだけみたい。勿論、Walking distansの定義にはよるが。 会議が終わった後に覗きに行った。大きなフロアだけど、CD/LPが半々、さらにCDもLPも中古の比率は低く、その意味で面白くない。 ただ驚…

Bill Evans(そしてSteely Dan) on Piano Jazz @NPR 旅先での音楽

旅先でEvansを聴きたくなった。ホテルで仕事をしている。ふっと思い出して、NPRのマリアン・マクパートランドの番組を探してみた。 彼女は2013年に95歳で亡くなったが、最期まで番組をやっていたのじゃないかな。ゆっくりとした語り口で、ゲストとまったりと…

Paul Bley, Gary Peacock: Partners (1989) 貧弱な音源、装置でも

iPADを使って、apple musicの音源をBluetoothでホテルの小さなラジオへ。貧弱な音源、装置でも、良い演奏はよい。 itun.es 部屋で仕事をしながら、ピアノとベースのデュオ。ピアノが辛くなったり、甘くなったりしているのが楽しい。ベースはあくまで太く。 O…

Texas Austinへ (P.F. CHANG'S)

仕事でテキサスのオースチンへ。毎年の仕事。そろそろ面倒になってきたので、止めようと思っているのだけど、グズグズと引き受けてしまった。 ドアからドアへ24時間の移動は辛い。天候不順によるフライトの3時間の遅延で、ホテルに入ったのは夜の9時くらい…

菊地雅章: 2012年10月26日 東京文化会館小ホール

これが最後の公演なのだろうか。ネットでアルバムを調べているときに、黒いオルフェ、というタイトルでのECMからのアルバム発売予告を多数みかけた。結局、発売中止となったようだけど、これが2012年10月26日 東京文化会館小ホールの演奏らしい。 youtu.be …

Paul Motian: On Broadway Vol. 5 (2009) 浮遊するジャズ

菊地雅章ディスク蒐集の一環で入手した中古盤。最近になって気がついたが、このレーベルWinter & Winterは、昔のECMみたいな感じで、いいなあ、と思う。 それはともかく、このアルバムでは菊地さんのピアノを十分楽しむことができた。モチアンの音楽って、浮…

その時間の遠さに

その時間の遠さに、目眩を感じる。加齢とともに、このような時間の過ごし方が辛くなってきたなあ。 今宵はこれから今朝のサンフランシスコに向かい、今ぐらいの時間のテキサス・オースチンへ。

菊地雅章: Kikuchi/Street/Morgan/Osgood (2008) 彼が生きていた時間を

彼が生きていた時間を、そのまま届けてくれたアルバム。最期の時間、に違いない。 ECMのアルバムで感じた、些細とは決して云えない苛立ちに近い感覚、はない。 彼の時間がとても忠実に、美しく記録されている。 2008年のニューヨークの録音、デンマークの音…

日野皓正、菊地雅章:HINO-KIKUCHI QUINTET (1968) 僅か数年のことだけど

全てが若かった、と思うのだ。世界が戦後・冷戦というスキームのなかにあった時代。音楽もヒトも。 1968年の録音。濃厚に1960年代の音であり、音よりもむしろアルバムの在り方が1960年代である、と思う。 僅か数年のことだけど、その後の音を考えると驚くべ…

雪の朝

夜明けとともに遠くの山が、と思う間もなく降雪が強くなった。 盤面を滑るカートリッジが、雪空に浮かぶように見える朝

山本邦山: 銀界 (1970) 音の少なさ

2年近く前に書いたときには、彼らの音がまさにECM的だなあ、と感嘆していた訳だけど、それは、音の少なさ、からきている。 今改めて聴くと、ECMより淡い残響感は、むしろ沈黙を際立たせる効果を感じさせる。とても良い録音だなあ、と思う。 それにしても、…

(ECM2096) 菊地雅章: Sunrise (2009) ECMとのこと、そして冥界からの便り

改めて、このアルバムを聴いている。EastwardやVoicesと変わらぬピアノ。この人がアコウスティック・ピアノに向かっている時の音はあまり変わっていない。ピアノの音を聴かせているのではなく、沈黙を聴かせている。だからECMは向かない、と思った。残響の処…

大雪の後

昨夜は遅くまで仕事をした。夜中に積もった雪、でクルマが凍っていた、氷点下。 今朝、やはりターンテーブルを廻していた。アーム越しに見える景色、が好きだ。 雪が降ると明るいし、暖かい、のは何故だろうか?

雪の日

やっと金沢らしい雪の朝を迎えた。 吹雪時々晴。 これがないと、ただの寒々しい田舎でしかない冬の北陸。 雪を迎えると、明るい光景が広がる、ような気がする。

Eric Dolphy: In Europe, Vol. 1 (1961) 朝聴く一枚

窓が大きな音で唸っていた、日の出前。強い風の音が聞こえる。崖っぷちの集団住宅なので、風が強い。 ひょいと外を覗くと、薄く雪が積もっていた。明るい。昨夜、雪の都内の映像を不思議な気持ちで眺めていた。こちらは積もっていない、のに。 昨夜の珈琲を…

Gary Peacock: Eastward (1970) 耳から入る瞬間

1980年頃、たぶんSJ誌の記事で、このアルバムを知った。とうに店頭にはなくて、当時、なかなか見つけることが出来なかった。中古レコードの情報を持っていなかった、ためでもあるが。再発を待っていたが、熱心に聴いている時分にはなかった。 そんな記憶がい…

Gary Peacock: Voices (1971) 電気・ピアノとアコウスティック・ピアノでの彼の音の流れの違い

当時、CBSソニーから出た日本滞在中のGary Peacockのアルバム2枚のうち1枚。もう一枚はEastward。より、Peacockのベースに焦点をしっかり合わせたアルバム。滞日中、6枚(だったかな)の日本制作のアルバムにcreditされているそうだけど、あとの4枚は日…

加古隆:Legend of the sea-myself(1977)現代音楽とのフュージョン

日本の音楽シーンが大きく飛翔したように思える1970年代。何か大きなエネルギーが社会にあって、1980年までに頂点を迎え、バブル崩壊の頃にそのようなヴェクトルは雲散霧消したのではないか。1960年代の反米闘争たる反安保から全共闘運動の過激化と挫折、経…

服部文祥:サバイバル登山家(2006、みすず書房)題名の怪しさはともかく

この本が出版されたときは、まだ前職で多忙な頃。気晴らしに山の本を集めていた。茗渓堂にもよく行った、ディスクユニオンよりは。山登りの代償行為だった、と思う。仕事を変えて、山登りを再開した頃から、山の本はあまり必要なくなった。深夜、書庫で密か…