K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1066) Eberhard Weber: Yellow Fields (1975) ささやかな疑問

 ささやかな疑問、がある。1979年にジャズを聴きはじめた頃にこのアルバムを聴いて、今のように楽しめただろうか。 

  残念ながら、そのように思えなくなっている。今、のボクが楽しめているような感覚がある。

 このアルバムを聴いていると、1975年から1976年当時の「似た」音楽と比較してしまう。一つはウェザー・リポートのBlack Market、もう一つはジャコのデビューアルバム(IAI盤がデビューかな、まあいいか)であるJaco Pastourious。ともに1976年の発売で、ほぼ同時期に録音していた筈。ライネル・ブリーニングハオスのキーボードにはザヴィヌルの影響を強く感じる、からね。ヴェーバーのelectric acoustic bass(だったかな)の味は、ジャコと通底するものがある。が、今になって聴くと、ウェザー・リポートには時代による劣化を強く感じる。ジャコのアルバム、このアルバムには全く感じない。これは、最初の「疑問」の裏返し、だと思う。

 ウェザー・リポートの場合、1979年当時に「よい」と感じたのは、多分に過去からのジャズの残滓のような部分で、アレンジが尽くされていない部分での奏者のブロウが良かった、と感じたような気がする。このアルバムは全く逆でそのようなジャズ性は希薄だ。曲の作り込みが丁寧で飽きずに楽しめるものになっている。だからバートンのジャズ・ロックに感じた荒さ、もなく、今に至っても全く劣化のない音を楽しむことができる。ジャコのアルバムはその中間。当時は彼のベースに驚嘆していたが、今は曲を楽しんでいると思う。

 良く聴くと、当時のジャズからはハミ出たアルバムで所謂フュージョンの枠なのだけど、今になって聴くとジャズの中心のようにも思える不思議な感じ。全般的にはヴェーバー固有のふわっとした浮遊感のなかにある。そのなかで、柔らかく刻み続けるベース。キーボードは時に激しく様々な音を流し続ける。クリステンセンのドラムが、ややオフ気味で収録されているが、激しく刻むリズムには丁度良い。マリアーノの音はヒトの声のような、色気を曲に添えるような使われ方。決して、ジャズ的なソロ、で加わっていない。だから全体の音として、点描のように彼の音色が生きている。

 やはり、この1060番代は凄いなあ、と何回聴いても、溜息モノなのだ。

youtu.be

 参考記事:

jazz.txt-nifty.com

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[ECM1066] Eberhard Weber: Yellow Fields (1975)
A1. Touch (Eberhard Weber) 4:58
A2. Sand-Glass (Eberhard Weber) 15:40
B1. Yellow Fields (Eberhard Weber) 10:05
B2. Left Lane (Eberhard Weber) 13:35
Eberhard Weber (b), Charlie Mariano (reeds), Rainer Brüninghaus(key), Jon Christensen (ds)
Design [Cover]: Maja Weber
Layout: Dieter Bonhorst
Photograph: Gabi Winter
Engineer: Martin Wieland
Producer: Manfred Eicher
Recorded September 1975 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg
Released: 1976