K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

小川隆夫:ジャズ・クラブ黄金時代 NYジャズ日記1981-1983(2023)ちょっと追記(当時のコロンビア・レコードの契約ミュージシャン)

新刊。1950年生まれの著者がマンハッタンへ行きたい一心で、同地の医大へ留学したときの話。苦心惨憺して留学に至り・勉学に励む様子も書いているが、本当か、と思えるほどのジャズに浸る日々。モンクが亡くなったタイミングでの同地のシーンの様子や、葬送の次第は圧巻。また当時の菊地雅章との交友も読んで楽しい。

丁度10歳下のボクがジャズ雑誌を片手にレコードを聴き漁っていたのは、大学時代の4年間で1979年から1982年にかけて。だから朧げな記憶のなかの当時のジャズ・シーンが再現される感覚があって、実に面白い。だから、今となっては話題にもならないリッチー・コールも登場し、実に懐かしい。

それにしても、緻密な記録は素晴らしい。チケットやセットリスト、メンバーなどが、当時のニューヨークのジャズ・シーンそのものを語っていて、実に雄弁。それだけでも見飽きない。また関連したアルバムのささやかな紹介がニクい。当時の音を再現できるように工夫されている。

1981年から1983年が、なぜジャズ・クラブ黄金時代なのか。不思議な表題ではあるが、その理由は本書を手にとり、その記述を読んでください。確かに、その感覚は共有できるのである。1980年頃のコロンビア・レコードのアルバムのスリーヴを見てもらえば、なんとなく感じることができる。その空気感のようなもの、と同じである。ボクが一番好きな時代でもあるのだ。

追記(3/2):1980年頃のコロンビア・レコード

これはマイルス・デイヴィスのThe man with the hornのインナー・スリーヴ。所謂Fusionが多いが、混じって当時の若手から中堅であるリーブマンやブライス、巨人のディヴィス、ゴードン、ベテランのハンコック、ラムゼイ・ルイスやウェザー・リポートなど。契約ミュージシャンには、フレディ・ハバード、ボビー・ハッチャーソン、ウッディ・ショウ、ジェームス・ブラッド・ウルマーなどなど。そこに日野皓正、菊地雅章、渡辺貞夫が加わり仰天、されにマルサリス兄弟が加わる、そんな状況だったのだ。