K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Charlie Mariano&渡辺貞夫 (1967) とうとう手を出した (晩年に通じる菊地雅章のピアノ)

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とうとう手を出した。

菊地雅章富樫雅彦を聴いていると、当たり前のことだけど、故人なので音源には限りがある。ともに1970年代初頭の音源(銀界、ポエジー他)を聴いて強く惹き込まれた。そうすると、どうしても意識は1960年代の音源に向かう。宮沢昭の「いわな」のような刮目すべき凄いものがあるが、どうも1960年代のものには手が出ない。
レコード屋でその頃のレコードを見れば分かるが、大半はムード歌謡ジャズ版とか米スタンダードの焼き直し。およそ1970年代の日本のジャズのような攻めとか独自性を感じない。かなり哀しい感じがある。ボクの亡父が基本、日本のジャズを聴かなかったのは、20代から30代にそのようなものを見たからだろう。だったらマイルスを買う、ロリンズを買う、だよね。

とは云え、菊地雅章富樫雅彦の「ジャズ」を聴きたい、と思うと仕方が無い。1960年代の渡辺貞夫のアルバムの入手をはじめた。とにかく売れた人なので入手は容易なのだ。

このアルバムは全曲がスタンダードあるいはボッサノヴァという、「なるほど」の選曲。1960年代だなあ、という内容。ただしジャケットはペラ・ジャケットではなく、またレコード盤も1970年代と質感は変わらない。ジャケット裏面のロゴが日本語なのは、当時、亡父が買っていたポールモーリアのレコードと同じような印象。懐かしい。 

中身なのだけど、これが悪くない。二管の2人が勿論ウマイ、のだけど、菊地雅章のピアノが実にいい。晩年のピアノソロの世界と同じ音の世界、意識密にして、音が疎になるような、である。モンク的と云われるが、そんなことはない。音数は少ないが音響的に柔らかい。彼のオリジナリティのようなものを感じた。富樫雅彦のドラムはオフ気味。基本、ムード音楽的ジャズだからね。でも、ビートの感じはとてもいい。録音レベルが本当に残念。

 

ナベサダ&チャーリー(K2HD/紙ジャケット仕様)

ナベサダ&チャーリー(K2HD/紙ジャケット仕様)

 

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Charlie Mariano&渡辺貞夫 (1967, Victor)
A1. Comin' Home Baby
A2. Black Orpheus
A3. One Note Samba
A4. Work Song
A5. Oh Lord Don't Let Them Drop That Atomic Bomb On Me
B1. The Shadow Of Your Smile
B2. Goin' Home
B3. On The Trail
B4. My Romance
B5. Secret Love
Charlie Mariano (as), 渡辺貞夫(fl,as), 菊地雅章(p), 原田政長(b), 富樫雅彦(ds)
Recorded June 27, 1967 at Victor Studio, Tokyo, Japan