K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2699) Eberhard Weber: Once Upon A Time (Live In Avignon) (1994) 彼の音の甘さ、が嫌いでなければ

Once Upon A Time (Live in Avignon)

(ECM2699) Eberhard Weber: Once Upon A Time (Live In Avignon) (1994)
1. Pendulum (Eberhard Weber) 6:31
2. Trio For Bassoon And Bass (Eberhard Weber) 12:42
3. Ready Out There (Eberhard Weber) 5:52
4. Silent For A While (Eberhard Weber) 6:04
5. Delirium (Eberhard Weber) 7:31
6. My Favorite Things (Richard Rodgers, Oscar Hammerstein II) 6:09
7. Air (Eberhard Weber) 3:47
Eberhard Weber(b)
Painting [Cover Painting] : Maja Weber
Design: Sascha Kleis
Producer [Recording Producer], Engineer [Recording Engineer] : Gérard de Haro
Executive-Producer: Manfred Eicher
Concert recording, August 1994
Théâtre des Halles, Avignon
Mixed at Studios la Buissonne, May 2021.
Released:    Nov 5, 2021

https://www.ecmrecords.com/shop/1628842870/once-upon-a-time-live-in-avignon-eberhard-weber

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流れる時間,光陰は冷酷だ。40年以上、親しんできた奏者が少しづつ、確実に舞台から消えていく。新しい奏者が現れ、楽しむ、ということもあるのだけど、話は別だ。

ヴェーバーが半身不随となり、そのtribution albumが出たのも随分前になってしまった。だから、この新譜の情報に驚いたが、1994年仏アヴィニョンでのソロ・コンサートの発掘?盤。

聴いてみると、これがエフェクターが強くかかった100%ヴェーバーの音。嬉しくなった。いつまでもソロが続くのでcreditを見て驚いた、はじめてのソロアルバム(だよね?)。electronics的な処理がなされていて、独りでのアンサンブルという感覚はない。ヴェーバーの音の純度が高まった、そんなアルバム。彼の音の甘さ、が嫌いでなければ、甘味が強まっている、酔うほどに。

My Favorite Thingsの選曲には驚いたが、ベース・ソロにコルトレーンの詩情のようなものと通底する味、が思いの外面白かった。

20代の頃、はじめて聴いたヴェーバーはバートン、メセニーとのアルバムで、あの電気音のグルーヴ感が全く好みでなかった、ことが不思議なほど、彼の音に親しむ自分が居る。不思議なものだ。しかし、もう新録音は出ない。彼の時代には終止符が打たれている。ありがとう、長い間。