一切、アイヒャーのcreditがないECM。初期のテープ買いはともかく、本格的に立ち上がった後では、はじめてのアイヒャーではないECM。producerはリーダのナオラ。録音日時や録音技師のcreditもなく、REMIXはおなじみMartin Wieland。だから音としては、しっかりECMになっている。
ジャケット裏にはナオラのライナーノートが。それによると、彼は1950年代から演奏しているそうで、vibのシッテルとはそれ以来の付き合い、ということが裏ジャケットに書いてある。楽歴が長いヴェテラン。アイヒャーのrespectがあり、ECM貸しを行ったのかな、と思う。ReMIX、ジャケットデザインなど、ECMとしてしっかりとした造りになっている。
さて音なのだけど、A面は完全にジャズ・ロックで、古さは否めない。聴いていて、なんだかバートンのAtlanticみたい。ヴェーバーのベースのエフェクターも「それ」っぽく、臭いなあ。B面は叙情的な雰囲気も出していて、収まりもよい。微妙に時代に迎合しているところが、しっかり時代に取り残されている感じになっている。アイヒャーのプロデュースの有無、の意味がよく分かるアルバム。1970年代前半のバートンのアルバムで、AtlanticとECMを比べて感じること、と同じなのだ。とは云え、ショーターと同世代のドイツの奏者が刺激され、「ボクたちのweather report」をやった感じ、が溢れたアルバム。ヴェーバーまで唸っているからねえ。同時期のJAPOのOMにとても近いので、なぜ、そっちで出さないのだろうか。
工藤さんの情報では、CDが出ていない。今朝、インターネットの中古盤販売サイトを見ると、CDが載っていた。売り物は出ていなかったが、販売実績はあるようだ。本当かなあ。
[ECM1053] Michael Naura: Vanessa (1974)
A1. Salvatore (M. Naura) 11:38
A2. Hills (Weber, Nay, Naura) 2:40
A3. Baboon (Naura, Schlüter) 3:17
B1. Vanessa (M. Naura) 5:55
B2. Listen To Me (M. Naura) 6:33
B3. Black Pigeon (Thunemann, Naura) 6:50
Michael Naura(p), Wolfgang Schlüter(vib, perc), Klaus Thunemann(Bassoon), Eberhard Weber(b), Joe Nay(ds)
Layout: B & B Wojirsch
Photograph: Tadayuki Naito
Remix: Martin Wieland
Producer: Michael Naura
Recorded September 1974 at Windrose Studios, Hamburg