K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1045) Terje Rypdal: Whenever I Seem To Be Far Away (1974) 北欧の空気感

Whenever I Seem To Be Far Away
[ECM1045] Terje Rypdal: Whenever I Seem To Be Far Away (1974)
A1. Silver Bird Is Heading For The Sun(Terje Rypdal) 14:05
A2. The Hunt(Terje Rypdal) 5:18
Terje Rypdal(g), Odd Ulleberg(fr horn), Pete Knutsen(key), Sveinung Hovensjø(b), Jon Christensen(perc)
B. Whenever I Seem To Be Far AwayTerje Rypdal 17:37
Terje Rypdal(g), Mladen Gutesha(cond), Südfunk Symphony Orchestra, Christian Hedrich(viola), Helmut Geiger(vln)
Engineer: Jan Erik Kongshaug (A1, A2), Martin Wieland (B)
Layout : Dieter Bonhorst
Photograph [Cover] : Tadayuki Naito
Producer: Manfred Eicher
Recorded 1974 in Oslo (A1, A2) and Ludwigsburg (B).
https://ecmrecords.com/shop/143038750659/whenever-i-seem-to-be-far-away-terje-rypdal

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リピダルを強く意識したのは、村井康司さんのディスク紹介本。いい本だった。オデッセイを聴いてから、この奇妙で、北欧の冷たい(むしろ凍った)大気のなかで響くロック的なギターと、倦怠感を醸し出すトロンボーン。強い独自性と奇妙な快感を与えるビート、そして紛れもないECMの奥行きのある音空間、に痺れた。窓から見える山が白くなる頃、聴いていたものだ。20年近く前の20世紀末。

ECMを頭から聴き出したのだけど、最初期のリピダルはまだ、そのような音、北欧の空気感を纏った、はなくって、ECMの音造りが揺籃期であったように、リピダルも(ガルバレクも)まだ彼らの独自性を模索しているようなアルバムであった。

このアルバムはガルバレクの盤(ECM1041)と同じく、欧州の奏者として独自の音、後年のオデッセイにつながる、が出来上がった瞬間を捉えている。そして、それがECMの音である、という強い主張を感じる。

A面はギター・カルテットにフレンチ・ホルン。まさにオデッセイと陸続きの浮遊感に溢れ、そしてまたビート音楽としての切れの良さ、が素晴らしい。ベース、ドラムもまた素晴らしい。

B面は現代音楽的なオーケストラのなかでのギター咆吼、というより彷徨するギターのような趣。と書くと統一感のないアルバムのようになってしまうが、見事にA面の音世界と同じ空気感を全く異なる編成で実現している。素晴らしい。リピダルの頭の中の原風景のような曲なので、とても楽しめた。これもまた、その後、new seriesに向かうECMという要素も垣間見せていると思う。

大気が締まり、冷たい湿気を孕んだ風が吹いていた朝、本当にこのアルバムはよかった。

Whenever I Seem To Be Far Away

Whenever I Seem To Be Far Away

  • アーティスト:Terje Rypdal
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: CD
 

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