K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1046) Dave Liebman: Drum Ode (1974) 時代の音を素晴らしく昇華させた

Drum Ode

[2015-11-26]

[ECM1046] Dave Liebman: Drum Ode (1974)
A1.Goli Dance (Trad., arranged by Barry Altschul) 0:28
A2. Loft Dance (Dave Liebman) 9:20
A3. Oasis (Dave Liebman, lyrics by Eleana Steinberg) 5:28
A4. The Call (Dave Liebman) 4:44
B1. Your Lady (John Coltrane) 6:34
B2. The Iguana's Ritual (Dave Liebman) 10:33
B3. Satya Dhwani (True Sound) (Dave Liebman) 6:17
Dave Liebman(ss, ts, fl), John Abercrombie(g), Richard Beirach(el-p), Gene Perla(b), Bob Moses, Jeff Williams(ds), Badal Roy, Collin Walcott(tabla), Barry Altschul, Steve Sattan, Ray Armando, Patato Valdez(perc), Eleana Steinberg(vo)
Artwork [Cover Art]: Eugene Gregan
Photograph: Malcolm Natale
Engineer [Rec. Engineer] : Jay Messina
Engineer [Mixing Engineer] : Martin Wieland
Producer: Manfred Eicher
Released: 1975
Recorded May 1974 at the Record Plant, New York City

https://www.ecmrecords.com/shop/143038750661/drum-ode-dave-liebman

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この数週間、ロシアのメロディア盤に心奪われ、時間が空いた。ECMへの興味を失った訳ではないが、勢いは削がれた。静謐系については。でも、当時のECMは必ずしも静謐系のレーベルではなかったと、気持ち整え、ECM聴き再開。

このアルバムの録音はニューヨーク。メンバーからして、アイヒャーの手から少し遠いアルバムか、と思ったが、決してそうじゃない。素晴らしい内容。バイラークの名前を見ると、はっ、とするね。

時代を切り取っていく、あるいは少し先の時代を刈り取っていったECMの尖った刃先が、アメリカのジャズをサンプルした瞬間を捉えている。全く違和感はない。変わっていったのはECMであり、アイヒャー。1970年代のECMの名作の一つではなかろうか。RTFと同じ系列の指向だと思う。ただ、そのような認知を受けず、埋もれたように思えるし、リーブマンもこのようなアルバムはその後取り組んでいない。

リーブマンが未だに墨守している、コルトレーン以来の「ジャズ・テナー奏者」としての側面と、ポリリズム、電化楽器などの時代の音を素晴らしく昇華させた音、なのだと思う。ウェザーリポートと同じ世界の音なのだけど、より先を狙ったようにも思える。足回りはジャズの尻尾が切れているのにかかわらず、上物はジャズの根っこがしっかりしたような、それでいて全く違和感がない編曲は凄い。

現代音楽との境界線での、静謐な音世界とは違う、躍動する1970年代を捉えていたECM、アイヒャーの姿を捉えるアルバム、だと思う。マイルスがファンクをやっていた時代、側にいたリーブマンの答え、のような音なのだ。そのような指向がいつかた撤退に入ったのか、関心が出てきた。1980年頃はまだあったなあ。

 (裏ジャケットの異質感は凄いなあ)

 


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