K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1047) John Abercrombie: Timeless (1974) 音楽が熱かった時代をEditionする

Timeless

[ECM1047] John Abercrombie: Timeless (1974)
A1 Lungs (Jan Hammer)12:09
A2 Love Song(John Abercrombie) 4:35
A3 Ralph's Piano WaltzJohn Abercrombie) 4:56
B1 Red And Orange (Jan Hammer)5:24
B2 Remembering (John Abercrombie)4:32
B3 Timeless (John Abercrombie)12:00
John Abercrombie(g), Jan Hammer(key), Jack DeJohnette(ds)
Design [Cover Design] : Rolf Liese
Photograph: Roberto Masotti
Engineer: Tony May
Engineer [Mixing Engineer] : Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Released: 1975
Recorded June 21, 22, 1974 at Generation Sound Studios, New York

https://www.ecmrecords.com/shop/143038750663

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[2015-12-04]

1974年の初夏、アイヒャーはニューヨークに滞在していたのだろうか。マイルスがファンクを響かせ、RTFでディメオラのギターが轟いていた時代。

そんな時代の音、contemporaryな音を、Edition for Contemporary MusicたるECMはファイリングしている。リーブマンに続き、ニューヨークでの録音。米国録音・独でのremixに慣れたのか、もはやECMとしての音の違和感はなく、ECMそのものの音空間のなかに、1974年の米国でのジャズシーンの一断面が切り取られている。 リーブマンのDrum Odeと同じように。だから、時としてジャック・ジョンソンのマクラフリンのようであったり、RTFのディメオラだったり、時代の残響のようなものが通底している。

 このアルバムはそんな時代の音が多面的に捉えられている。A面、B面ともにジャズ・ロック的な強いビートではじまる。ヤン・ハマーの音はジャズ的な要素が希薄で、ジャズの尻尾が強いクロンビーとの組み合わせが面白い。1969年のマイルス・バンド欧州ツアーで激しいリズムを叩き出したことが印象的だったデジョネットも、やはり強いビートを繰り出す。そんな、非ECM的、と思わせる音も、素晴らしく「Edition」されていることに、当時のECMのダイナミックレンジの高さ、を強く感じる。違和感は全くない。

A面、B面とも2曲目はInterludeあるいはadagio的なギターとピアノのアコウスティクなデュオ。これらも美しい。強いビートの後、ほんとうに心地よい。A面3曲めは、多分、クロンビーの本来の音えはないだろうか。オルガンでビートを刻む、ギター・トリオ。マルティーノと同じ、ジャズ・ギターの嫡男たる音。このドライヴ感は素晴らしい、のだけど、ECM的には違和感が若干。

 全体としてみたら、まとまりが欠けているように思えるが、1974年という、音楽が熱かった時代をEditionする、とするならば、クロンビーの頭のなかにあった音を多面的に採集した、ということだろう。そんな意味で、単色にEditされることが多いECMのなかで異色ではなかろうか? 

Timeless

Timeless

 

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