K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

The Tony Bennett-Bill Evans Album


The Tony Bennett-Bill Evans Album(1975, Fantasy)
   1. Young and Foolish
   2. Touch of Your Lips
   3. Some Other Time
   4. When in Rome
   5. We'll Be Together Again
   6. My Foolish Heart
   7. Waltz for Debby
   8. But Beautiful
   9. Days of Wine and Roses
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ジャズの聴きはじめの頃,マジメにブックガイド読んでレコードを買っていた.だからBill Evansといえばお約束のようにScot LaFaroとの高名な4枚から聴き始めた.その後30年,いわゆる名盤より何十倍も聴いているのはこのTony Bennettとのデュオ.

Tony Bennettのビートを効かせない唄や甘めの声がBill Evansのピアノとの調和がいいのか,Bill Evans伴奏のTony Bennettアルバムになっていない.Evansの楽曲のムードを保って,その一見(いや一聴)甘い部分を,Tony Bennettの甘い唄い声でゆっくりゆっくりなぞるように堪能できるので,Evansのアルバムとして深く気持ちに刻まれている.Tony Bennettが正統的なジャズ歌手ではないことがいいのだろう.数年後にEvansがこの世から消えてしまうことを知っているから,歌詞のついた演奏のひとつひとつに仄かな哀切の気持ちが底に流れる.あのWaltz for Debbyも去りゆくものの回想のような感じ.この時期のFantasy録音に共通する味.

そんな訳で,このレコードはいつも夜半に照明を落として聴く一枚.LPしか持っていないので,暗いと針を落とし損なう頻度があがった年頃なんだけど.と書いて,このときのEvansはもう年下なんだな(シミジミ).


同じBill EvansとTony BennettのデュオがConcordからリリースされていたことを最近知った.昔ならすぐ買ったのだけど.これは躊躇して買わなかった.The Tony Bennett-Bill Evans Albumをターンテーブルに載せて,A面,B面を聴くことで自己完結しているから.

Together Again (1976, Concord)


試聴して思ったけど,こればっかり聴くと米国製砂糖菓子みたいな甘くてしんどい.

それどころか,好き者はいるわけでFantasy盤とConcord盤をあわせて集大成している,と思ったらConcordがFantasyを買収してい て驚き(雑誌の類は買っていないので知らなかった.蟻が象を呑むような..).Alt-takesも集成しているので”歴史的資料”としては素晴らしいのだろうが,手が伸びない.

The Complete Tony Bennett/Bill Evans Recordings(Fantasy)1975年,1976年録音