K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Morten Halle:Ten Easy Pieces (2003-2004) appleそしてamazon

 H松さんのFBコメントで聴きに行った。apple musicですぐ聴ける。これは凄いことだ。

 apple musicの凄いところは、世界の果てまでの音を蒐猟している、ような印象があって、minorな音楽ほど手元に引き寄せる力があること。それは出版におけるamazonの存在、tailに陽をあてる魅力、のようなもの。巨大な米資本への反発めいた感覚もあるのだけど、全てを包含するプラットフォームを構築・提供する力、は凄まじい。minorな音楽・出版とmajorなものを全く同じschemeの上にflatに包み込んでいる訳だから。米国という「民主主義」を信奉する宗教国家の在り方、そのもの。平等で機会均等のような建前を堅持し、巨大な資本で包み込み資金のflowを生み出す、収奪機械としてのplatform。それを音楽や出版に敷衍させるappleamazon。そこそこの快適感と引き替えの収奪、それは出版をする側も受け取る側もそうだろう。まさに米式民主主義の構図だよね。それに対する反発もアリだけど、ソヴィエト化・スターリン化はもっとイヤだなあ。

 最近は様々な音源がapple musicでアップされていて、特にfree系の音楽が容易に接近できる時代になったなあ、と驚いている。音質は関心できないのだけど、改善も時間の問題だろうなあ。今、いいなあと思っているのは、Bandcamp。CD/High resolutionのDL/試聴が自在にできる。apple musicで捉えきれないダメな音楽ファン(私のような)を急激に取り込んでいる、ような感じがあって、急速に拡大している。とにかく音がよい。あ、これも米国のヴェンチャーだけどね。

 それはさておき、このアルバムはまさに「ジャズ室内楽」でとても中庸な感じの音楽。作曲されたようなところ、即興のようなところ、浮遊するところ、熱を帯びたところ、そんなものが「丁度」の濃さで調合されている。とても気持ちよい。最近、サックスを聴いてもダルいのだけど、これはなかな聴かせてくれた。ベースも存在感は大きいし、チェロがつくる少し非現実な空気もよかったなあ。

 さあ、買おうか、迷ってしまった。

Morten Halle:Ten Easy Pieces (2003-2004, Curling Legs)
1. Can Opener (Morten Halle) 5:58
2. Go West (Morten Halle) 5:59
3. Minor/Major Waltz (Morten Halle) 4:09
4. French Tune (Morten Halle) 3:23
5. Is This For Free? (Morten Halle) 2:14
6. Bricks And Wood (Morten Halle) 4:50
7. Sonny Days (Morten Halle) 3:01
8. Better Days (Morten Halle) 3:59
9. Vence #1 (Morten Halle) 5:45
10. Swebus (Morten Halle) 3:48
Morten Halle(as), Anders Jormin(b), Svante Henryson(cello)
Design: Peter Knudsen
Engineer [Recording]: Johannes Lundberg, Tobias Sjögren
Mastered by Giert Clausen
Mixed by Jock Loveband
Photograph: Tobias Sjögren, Johs. Bøe
Recorded at Studio Bunkern, Gothenburg, 11/3-2003 and 16/1-2004
Mixed at Urban Sound Studios, Oslo, 10-12/3-2005
Mastered at Fersk Lyd AS, Oslo
Released: 2005