K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Paula Santoro ,Duo Taufic: Tudo Sera Como Antes (2019) ミナスの街角クラブ曲集、となると

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つい数日前にディスクユニオンの宣伝で試聴し、即購入決定。日本盤で高価なのだけど。ミナスの街角クラブ曲集、となると聴きたい衝動が抑えられない。ミルトンの曲は、ウェイン・ショーターNative Dancerに掴まれて以来。1980年くらいのことだから、40年近いなあ。

今日届いて、早速聴いているが、とても面白い味わい。ミルトンの原曲では、大空に抜けていくような爽快感があり、そこに惹かれた訳だけど、唄われた時期(軍政期)を含めて考えると、未来への熱のようなものと、現在への毒が混在したような感触が確かにあった。

 このアルバムのパウラ・サントーロの歌唱は、抑制的でそのような大きな爽快感は得られない。むしろ内省的なヴェクトルを感じ、そこが魅力のように思える。そして街角クラブの時代から、解放された時代を経て、再び閉塞するようにもみえる南米そして世界への眼差し、を感じるのは考えすぎだろうか。半世紀前の唄い手達の戦いへの慈しみ、のような。

伴奏のデュオ・タウフィッキ、タウフィッキ兄弟のピアノとギターも実に絶妙で、美しく唄に纏わり付く。ジスモンチと同じく中東系ブラジル人奏者らしいが、ジスモンチ的な毒がないところが、少しだけ残念。不満はないが。

TUDO SERA COMO ANTES

TUDO SERA COMO ANTES

 

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Paula Santoro ,Duo Taufic: Tudo Sera Como Antes (2019, Inpartmaint)
1. Noticias do Brasil (Nascimento)
2. O Sal da Terra(Guedes)
3. Canto Latino(Nascimento)
4. Nuvem Cigana(Boges)
5. Tudo Sera Como Antes(Taufic)
6. Tesouro da Juventude(Moura)
7. Nascente(Venturini)
8. Sol de Primavera(Guedes)
9. Reis e Rainhas do Maracatu(Nascimento)
10. Clube da Esquina(Nascimento)
11. Durango Kid(Horta)
12. Travessia(Nascimento)
13. Viola, violar(Nascimento)
Paula Santoro(vo), Eduardo Taufic(p), Roberto Taufic(g)