K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

峰厚介: Out Of Chaos

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峰厚介: Out Of Chaos (1974, East Wind)
A1. Recollection (K. Mine) 12:05
A2. Little Abi (M. Kikuchi) 9:34
B. Cross Wind (K. Mine) 17:48
峰厚介(ts), 菊地雅章(p), 岡田勉(b), 日野元彦(ds)
A1 and B recorded on July 30, 1974 at Studio A, Tokyo. A2 recorded on July 15, 1974 at Iino Hall, Tokyo. 

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これで菊地雅章関連で欲しい音源は揃ったかなあ。1960年代の音源は要らないなあ、と思うし。存外に安価にレコードが入手できたのだけど、聴いてみると音がおかしい。多分、購入後殆ど聴かれていない「休眠中のレコード」だったのだ。そんな訳で、タオルでの水拭きなど行い、何回か針でトレースし、やっとレコードらしい音に。やれやれ。
峰厚介がコルトレーン的な熱さで演奏しながら、コルトレーンではない我々のジャズなんだ、という感じの1970年代の日本のジャズの魅力が一杯の熱いアルバム。それにしても日野元彦がとにかく熱く叩き、岡田勉のビートも力強い。

ボクがジャズを聴き始めた頃、峰厚介はネイティブ・サンで大人気であった訳だけど、バンドの良さは分からなかった。実は最近、聴き直したが印象はさほど変わらない。曲を聴かせるには大味だし、ジャズとしては抑制的だし、って感じで。でも峰厚介のソプラノやテナーの音色は心地よく、このアルバムでも管の音は美味しい。

面白いのは、菊地雅章のややリラックスした感じの演奏。一音一音を強く選別するような、探る演奏ではない。されとてマッコイ的な流れを作っている訳ではない、菊地雅章のピアノは菊地雅章なのだけど。そのやや弛緩感じが、すっと浮かび上がる。

白眉はリトル・アビ。ここだけは菊地の世界そのもの。唸り声はなく、そこはいいのだけど、ピアノを軽く蹴る音の処理がどうも良くない。風防マイクに風が当たったような空気の歪みのような音が所々入っている。振動でマイクがビビっている(共振)ではないのか。これだけは別の日の収録で、イイノホール。ホールの残響が仇になっているように思えるがどうだろう。実に惜しい。

この10年近く遊んだ菊地アルバム集めも、終わってはいないが、気持ち的にはお仕舞いかなあ。

アウト・オブ・ケイオス

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