John Zorn, George Lewis, Bill Frisell: News For Lulu (1987) 管に粒立ち、のような表現が許されるなら

John Zorn, George Lewis, Bill Frisell: News For Lulu (1987, hat ART)
1. K.D.'s Motion (Dorham) 3:22
2. Funk In Deep Freeze (Mobley) 4:31
3. Melanie (Redd) 4:01
4. Melody For C (Clark) 4:26
5. Lotus Blossom (Dorham) 4:08
6. Eastern Incident (Clark) 4:04
7. Peckin' Time (Mobley) 3:13
8. Blues Blues Blues (Redd) 4:17
9. Blue Minor (Take 1) (Clark) 3:43
10. This I Dig Of You (Mobley) 3:13
11. Venita's Dance (Dorham) 3:23
12. News For Lulu (Clark) 4:07
13. Olé (Redd) 3:47
14. Sonny's Crib (Clark) 5:22
15. Hank's Other Tune (Mobley) 3:52
16. Blue Minor (Take 2) (Clark) 3:26
17. Windmill (Dorham) 0:40
18. News For Lulu (Clark) 4:19
19. Funk In Deep Freeze (Mobley) 3:29
20. Windmill (Dorham) 1:03
John Zorn(as), Bill Frisell(g), George Lewis(tb)
Arranged by Frisell, Lewis, Zorn
Producer: Pia And Werner X. Uehlinger
Recorded by Etienne Bron (tracks: 1 to 17), Peter Pfister (tracks: 18 to 20)
Tracks 18 to 20 recorded DIGITAL two-track live at Jazzfestival Willisau on 7/30/87.
All other tracks recorded DIGITAL two-track live at Soundville Recording Studio Lucerne on 7/28/87.

----------------------------------------------------------------

ビル・フリーゼルの1990年頃の音の感じがとても（いや猛烈に）好きなので、少し聴き足そうと手を出しはじめたら、あらあらジョン・ゾーンもいいじゃない、という流れ。

一昨年、ニューヨークで少し聴いたのだけそ、そのときはピンとこなかったな。丁度、こっち方面を聴かなくなった1980年代の真ん中あたりからの人なので（よく知られるようになったのが）、手が出ていなかったし。猟奇的ジャケットが本当に嫌で手を出していなかった、ってのもあるし、云々。

そんなことはともかく、このアルバムは凄く良い。フリーゼルは想定より案外大人しく、やや物足りない。まああの音が好きだからいいのだけど。何と云ってもゾーンの管の音の鋭さが強烈。管に粒立ち、のような表現が許されるならそんな感じ。それに合わせてくるジョージ・ルイスのトロンボーンも存外によい。ECMのサム・リヴァースとのアルバムで、風呂場の中の音、みたいなのを聴いて、駄目な奏者に分類していたのだけど、取り消し。鋭い。

そんなアヴァンギャルド系の３人が演るハード・バップ曲が実に楽しい。ジャズ愛が剛速球で投げ込まれるが、面白みはハード・バップを借りての音の振幅。小気味よい速度で、原曲のテーマから短い音の応酬に駆け出す。テーマは作曲者への愛に満ちつつも、そこで原曲のレンジを振り切りはじめ、テーマ終了とともに全力で駆け抜ける。最長５分程度の一本勝負という体で3人の巌流島、なのだ。

それに録音がとても良い。奏者の定位が際立つ感じで、ゾーンのマウス・ピースの摩擦音まで弾けている。

いや楽しいなあ。

More news盤がライヴであるようなので、欲しくなったなあ。困った困った。

John Zorn George Lewis Bill Frisell News for Lulu 2015