K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Hermeto Pascoal: Hermeto (1970) 米録音と知らずに聴いたら驚いた

Hermeto Pascoal: Hermeto (1970, Cobblestone==>Far Out Recordings)
A1. Coalhada (Yogurt) (Hermeto Pascoal)
A2. Hermeto (Hermeto Pascoal)
A3. Guizos (Bells) (Hermeto Pascoal)
A4. Flor do Amor (Jose Neto Pascoal)
B1. Alicate (Pliers) (Hermeto Pascoal)
B2. Velório (Mourning) (Hermeto Pascoal)
B3. As Marianas (The Marianas) (Hermeto Pascoal)
B4. Fabiola (Hermeto Pascoal)
Hermeto Pascoal(key, fl, arr), Thad Jones, Joe Newman, Gene Young, Ernie Royal, Melvin Davis(tp), Garnet Brown, Wayne Andre, Jack Jeffers, Richard Hixson(tb), Don Butterfield(tuba), Ron Carter(b), Airto Moreira(ds, perc)
Art Koening & Hermeto Pascoal(cond), Clarke Selwart, Julien Barber, Alfred Brown, George Ricci, Kermit Moore, Gene Orloff, Max Pollikoff, Joseph Malignaggi, Winston Colymore, Gayle Dixon, Gerald Tarack, Paul Gershman, Matthew Raymond, Sanford Allen(Strings), Joe Farrel, Jerry Dodgion, Arthur Clarke, Hubert Laws, Maurice Smith, Harold Jones, Leon Cohen, Jerome Richardson(Winds)
Engineer: Tony May
Co-producer: Tony May
Producer: Flora Purim & Airto Moreira
Recorded at A&R Studios
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米録音と知らずに聴いたら驚いたアルバム。

見かけたら、とりあえずレコードを入手することにしている奏者は何人かいるが、パスコアールもその一人。もっとも中古盤は高価な場合が多いので、再発盤が多くなる。

これはUKのFar Out Recordingsからの再発盤。初リーダ作なので、初出はブラジルの入手困難盤かと思ったら、米Cobblestone、その後、Museから再発されたようだ:

Hermeto - Hermeto | Releases | Discogs

1970年頃のマイルスとの共演で知られ、Live under the skyで来日もあったことで、1970年代末にはミルトン・ナシメントに次ぐくらい著名であった筈だが、このレコードは見かけなかったなあ。

Far Out Recordingsの解説( Hermeto | Hermeto Pascoal) :

Far Out Recordingsは、Hermeto Pascoalの驚くべきデビューアルバムを紹介します。1970年にニューヨークのA&Rスタジオで録音されたこのアルバムには、ロン・カーター、ヒューバート・ロウズ、ジョー・ファレル、グギー・コッポラといった北米の著名人、ブラジルのスター、アイアート・モレイラ、フローラ・プリム(アルバム制作も担当)らが参加しています。

このアルバムは、エルメートにとって初めて自分の名前でリリースされたものだが、それ以前の10年ほどは、サンブラッサ・トリオ、クァルテート・ノーヴォ、ブラジリアン・オクトパスなどのグループで作曲家、編曲家、楽器奏者としてブラジル国内外に名を馳せており、その後、エドゥ・ロボ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ドナルド・バード、アイアート・モレイラ、そしてエルメートを「地球上で最も重要な音楽家のひとり」と呼んだマイルス・デイビスらと仕事を共にしたと言われている。

エルメートの別世界のようなオーケストラ・アレンジ、フローラ・プリムとグギー・コッポラの幽玄なヴォーカル、そしてアイルト・モレイラの比類なきドラミングとパーカッション・スタイリングによって、エルメートは1970年代初頭の有名なMPBアルバムに容易に匹敵する。

驚異的な天性の音楽的才能と絶え間ない創造的な感覚を持つヘレムは、型にはまらない物を使って音楽を作ることで広く知られています。アルバムのスリーブノートで、エアトは「Velório (Mourning)」という曲で、ヘルメートが36本のリンゴジュース瓶に異なる量の水を入れ、正確な音程に調整することで、魅力的なハーモニーを作り出したと説明しています。

エルメート・パスコアルの『Hermeto』の再発は、最近Far Outが1981年の未聴のエルメート・パスコアルのライブコンサートPlanetario da Gaveaを公開し、2017年にはエルメート・パスコアルの失われた1976年のスタジオアルバムViajando Com O Somが公開されたことに続くものです。

上記情報より先に聴いたのだけど、A&M/CTIからCTIあたりのオーケストラサウンドとMPB、ジャズを混ぜたような、不思議なCrossover。かなりジャズ色が強くて驚いたのだけど、Cobblestoneと聞いて納得。エルミート・パスコアール色は後年ほど強くなく、ジョビンのWaveを拗らせた感じ、のアルバム。拗らせ方が足りないので、物足りなさ、を感じるのだけど。ふーん、と思いながら聴いた。でもジョビンのWaveが案外好きなように、これもパスコアール色不足であるが好きなアルバムになりそう。

いつだったか、角銅真実とライヴの後に話をしたら、パスコールと一緒の写真を見せてくれたので羨ましかったが、そのパスコアール的混沌さ、はまだ足りない。存命なので、ナマで聴きたいな。(ナナ・ヴァスコンセロスが急逝して聴き逃したのは痛恨だった)

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