K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2487) Carla Bley: Andando El Tiempo (2015) 2年半の時を経たが

Andando el Tiempo
(ECM2487) Carla Bley: Andando El Tiempo (2015)
1. Sin Fin 10:23
2. Potación De Guaya 9:50
3. Camino Al Volver 8:29
4. Saints Alive! 8:35
5. Naked Bridges / Diving Brides 10:05
Composer: Carla Bley
Carla Bley(p), Steve Swallow (b), Andy Sheppard (ts,ss)
Design: Sascha Kleis
Engineer: Stefano Amerio
Photograph: Caterina di Perri
Producer: Manfred Eicher
Released: 06 May 2016
Recorded November 2015
Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano

https://www.ecmrecords.com/catalogue/1461050419/andando-el-tiempo-carla-bley-andy-sheppard-steve-swallow

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前作から2年半を経たが、そこには何か差分はあるのだろうか。カラーの曲集を同じ3人が、同じ場所で、同じスタッフで吹き込んでいる。前作のジャケット写真と今回を比較すると、カメラ位置や画角は同じで、カーラが姿勢を持ち上げただけ、のように感じる。そのあたりに、何か「引っかかり」のようなものを感じて、文章で印象を書いてみる、ということが出来ないでいた。 

比較して聴いてみると、音場の感じは全く一緒。3人の音色も変わっていない。そうすると、ただの二番煎じじゃないか、と思うのだけど、そうでない。

前作は3人の関係はかなり対等であり、インタープレイが中心。カーラのソロよりも、むしろ他の楽器に反応し出すカーラの装飾音のようなものが、とても軽やかで美しく華やいでいる。そこに旨味、を感じた。

本作はむしろカーラのピアノそのものに焦点が当たっていて、より静謐な世界に向かっている。彼女なりに冥界と向かい合っている音、じゃなかろうか。だから、今まで以上に、内省的なカーラの演奏になっている、と思う。前作がWATT(カーラのレーベル)からECMへの過渡的な作品であるならば、本作はECMの音世界のなかに完全に落とし込まれている、のである。

オリジナルがレコードではない、オリジナルがCDの場合のレコードは買わないことにしているのだけど、なかなか我慢できない。本作のように音が良ければなおのこと。手を出してしまった。やれやれ。

 

Andando El Tiempo [12 inch Analog]

Andando El Tiempo [12 inch Analog]

 


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