K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

山代温泉「魯山人寓居跡いろは草庵」 器も書も分からない野暮天だけど


 昨日、金沢に移り住んでから初めて山代温泉に出かけた。昔から出不精なので、東京から来たSさん一行にくっついて行ったのだ。温泉に入った訳じゃなくて、魯山人寓居跡 いろは草庵を訪ねた。

 器も書も分からない野暮天だけど、冷たい雨の中、古い日本家屋に座して庭石を叩く雨音を聴いていると、ざらついた夏の気持ちが少し、落ち着いたような気がした。


 金沢に移り住んでから魯山人の名前を聞くことが少なからずあり、「北鎌倉の星岡窯」がどこにあったのか、少し気になった。てっきり、源氏山の北、葛原が丘から東の山中かと勝手に思っていたが、台峯と知って驚いた。北鎌倉というより、深沢(鎌倉は旧行政区割りから、鎌倉、大船、深沢に分かれる)。小高い台地で、小川沿いに谷戸がせり上がる美しい土地。とても好きだった場所。

 金沢に移り住む前に1年半近く済んでいたのは深沢で、大船の会社へ通うとき、少し遠回りして台峯を通っていたから、とても懐かしい。北鎌倉から横須賀線に沿って、大船に向け北上すると小袋谷。そこから迷路のような台峯に入っていく。坂をあがると山崎小学校の手前で切り通しのあと。そのあたりが星岡窯だったそうだ。

 このあたりの散歩は道に迷いやすく、それが楽しみで良く出かけた場所。台峯から葛原が丘あたりは土地の力がつよく、何となく夕闇のころに鎌倉で感じる「あの感じ」が涌き出る場所。東郷隆「鎌倉ふしぎ話」とか西岸良平鎌倉ものがたり」(漫画)などは、それが上手く書いていると思う。こんな感じは、夜半過ぎでの金沢でも感じるので何となく面白い。

 秋の始まりのような雨の朝につらつらと、こんなことを思い出していた。