K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Gal Costa, Caetano Veloso: Domingo (1967) 秋の匂い、が漂った朝

 夏のような猛暑が続いている。空には疲れが見えていて、擦れたような色。硝煙が薄く広がっているような、匂いが見える。

 それが不思議なことに、秋の匂い、のように感じた。

 少し前に届いたGal CostaとCaetano VelosoのDomingoを何回もかけている。ボッサの形の曲が続くのだけど、曲と聴き手の間が少し離れていて、温度も少し低い。ボッサのようで、もっとcool(としか表現できない)な感じ。それが今朝の気分にとてもよくあって、何回も表裏をひっくり返しながら聴いている。秋の予感を感じながらレコードを聴く朝、いつも休日のような気分で過ごしている。そして、針をあげるとき、現実の仕事の中に戻っていく。

 音響機器って、電気を入れてから、よく鳴るまで暫く時間がかかる。そして、ある時にぐっと開いたように音が出る。

 古いレコードもそんな感じがある。針と盤面の間に膜があるような、音溝をうまくトレースできなくて、わずかなことだけどスクラッチ雑音が音よりも前に出て、なんともがっかりすることがある。多分、何年かぶりに針が当たるときに違いない。何回かかけていると、次第に音が前に出て、雑音が引っ込むように感じるときがある。その後が、レコード盤から沸き上がるような音の薫り、のようなものを楽しむ。もっとも、何回もかけても雑音のなかから出てこない時もある。

 このレコードは1967年発売のモノラル盤。ブラジルでプレスされたもの。CDで聴いていたのだけど、この倦怠感、はレコードで感じてみたいと思った。B面の雑音が多く、特に内周側のひずみが大きく、少しがっかりしていたのだけど、何回か聴いているうちに、音がようやく前に出てきて、あと針圧とインナーフォースキャンセラーを少し調整すると、音がすっきり出てきた。実はCDの音のほうが明瞭なのだけど、倦怠感、のような空気感はやはりレコードだと思う。

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Gal Costa, Caetano Veloso: Domingo (1967, Philips)
A1. Coração Vagabundo (Caetano Veloso) 2:25
A2. Onde Eu Nasci Passa Um Rio (Caetano Veloso) 1:59
A3. Avarandado (Caetano Veloso) 2:44
A4. Um Dia  (Caetano Veloso) 3:12
A5. Domingo (Caetano Veloso) 1:25
A6. Nenhuma Dor (Caetano Veloso) 1:33
B1. Candeias (Edú Lôbo) 3:12
B2. Remelexo (Caetano Veloso)      1:54
B3. Minha Senhora (Torquato Neto) 4:15
B4. Quem Me Dera(Caetano Veloso)    3:23
B5. Maria Joana (Sidney Miller) 1:41
B6. Zabelê  (Caetano Veloso) 2:48

ペラペラの段ボール紙に紙が貼り付け