K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

雪の夜・雪の朝


 もう何回もしつこく書いているのだけど、雪が降ると、全てが明るく、柔らかく感じるのは何故だろうか。ただの暗い冬が、なにか素晴らしい時間・空間のように変貌する、その移ろいの激しさに驚いてしまう。

 そんな時は音を消して、本を読んでいるのがよい。ほとんど無音のなかで、少し空中に浮かんだような、気持ちの良い所在なさ、を味わうことができる。ふっと照明を落としてみる。明るい夜、を過ごすことができる。弱い光りが乱反射し、翳の輪郭が曖昧になり、そこが単色の光彩のような縞が重なり合っているように見える、ような気がする。

 そんなときは、寝室のカーテンを開けて寝床につく。眼をあけると、淡い光りの中で寝ていることに気がつく。浅い眠りが愉しく思えて、楽しい。

 そして朝。光りの中で、むしろ墨のように流れていく一片の雲をみつけ、横目で眺めながら針を落とす。針先の向こうに、焦点が定まらない雪が流れていく。雪が落ちていくのか、眺めているボクが昇っていくのか、その所在ない相対論をいつまでも感じていたい。