K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

窓の外の墨流し

 月曜から金曜まで、一日として晴れた日がない。雨、雲、霰、雷。雨冠、そして淡い消えそうな光の日々。時々刻々と主役を変え、分単位で目まぐるしく空の表情を変える。

 山を眺めて日々を過ごしたいな、と思って南向きの部屋に住むことにした。ほぼ東にある医王山から白山がある南、さらに山並みが切れて寺町台地が空に浮かび、海に続く西側まで開けている。だから、ぼんやりと起きた朝、東から西までの間に広がった、窓の外の墨流しのような光景を眺めている時間がとても好きだ。気がついたら4回目の冬なのだけど、飽きすに独り震えている。楽しい。

 それにしても海から湧き上がる湿気が創り出す翳のコラージュを眺めながら過ごす朝は贅沢で、実は仕事に出かけるのが遅めになっている。そんな時間の断章を少しだけ。

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灰色の朝。古いモノラル・レコードへの針圧を高め、音の変化を眺めていたら、眠り込んでしまった。外の景色を眺めながら、再びターンテーブルを廻していたら、ふっと南の雲が切れた。厚い雲の下に茜色の白山が見えた。


東の空

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土色の朝。西から低い黒雲が流れている。寺町台地の上でばらけて、薄い黒のレースのような感じ。その向こうに白い山が微かに見えている。この眼前の景色は面白すぎる。

その朝は、激しい霰の打音で目覚めた。窓の外の景色が流れている。とても早い流れ。確かに11月も後半に入ったよなあ、と妙に納得した。冬に転げ落ちる感じが気持ちよい。