K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Naná Vasconcelos, Nelson Angelo, Novelli (1975) サハラ以南のアフリカの匂い

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ボクの世代のジャズ・ファンの多くが(多分)そうであるように、パット・メセニー・グループ(PMG)での存在感で、ナナ・ヴァスコンセロスを知った。1980年代の中頃から1990年頃じゃないだろうか。ウェイン・ショーターのを通じ、ミルトン・ナシメントを知った、ことと似たパターンだ。

1980年代後半のPMGで知ったから、ボクが持っているナナのアルバムは全てCDだった。最近出版されたサラヴァ本を読んで、サラヴァからのアルバムはレコードで欲しい、と思った。幸い、サラヴァから出たナナのアルバム2枚を売るディーラーがイタリアに居て、まとめて注文することができた。

今週に入って届いたのだけど、まず、このレコードを聴く。ジャケットがいい感じ、この頃、スティーヴ・カーンも同じイラストレータのジャケットじゃなかったかな。レコードに針を下ろすと、強い音圧でギターが響く。レコードで入手して良かった、と思う瞬間。強く引き寄せられる。

ボクの脳内引き出しでは、ナナ・ヴァスコンセロス、エグベルト・ジスモンチ、エルミート・パスコアールは同じ引き出しに入っている。土着的で、呪術的であり、そしてエキゾティズムをかき立てられる。そのなかで、ナナが最も土着的・アフリカ的な匂いが強く、そして、晩年まで変わらぬ空気を纏って演奏している、ように思える。ジスモンチや特にパスコアールは、強い作曲行為が入った部分で、経年劣化を感じる音もあるが、ナナの音は本能的であり、そのような印象を受けることはない。

この初期のアルバムもそうで、晩年と全く変わらないナナがいる。ブラジル経由で少しだけ洗練されたアフリカがそこにある。そのアフリカ的な要素に強く反応したのがフランスではなかったか。サハラ以南のアフリカの匂いのようなものが強く増幅され、スパイスのように感じられるのは、フランスのレーベルの味じゃなかろうか。聴いていて、気持ちが良い。


 

ナナ=ネルソン・アンジェロ=ノヴェリ / アフリカデウス

ナナ=ネルソン・アンジェロ=ノヴェリ / アフリカデウス

 

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Naná Vasconcelos, Nelson Angelo, Novelli (1975, Saravah)
A1. No Sul Do Polo Norte 2:42
A2. No Norte Do Polo Sul 1:44
A3. Aranda 2:26
A4. Toshiro 4:05
A5. Baiao Do Acordar 3:58
B1. Garimpo 3:00
B2. Tiro Crusdao 6:09
B3. Pinote 8:06
Nana Vasconcelos(berimbau, voice, perc), Novelli(b, g, p, voice), Nelson Angelo(g, org, voice)
Artwork: Folon
Engineer: Gilles Salle
A&R [Direction Artistique] : Pierre Barouh

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