もう少し「あの頃の」チック・コリア。
商業的には1970年代の第二期RTFが全盛だったらしい。セントラルパークで一杯、だったそうだ。1970年代末には、今ではタウンホール一杯くらいだけど、なんて記事があった。それでも、その頃隆盛だった日本のジャズフェスティバルでは数1000人の入場者を沸かしていたのだから、驚いてしまう。
それはともかく、このアルバムはコリアがマイルスバンドを抜ける直前のアルバム。メンバーはほぼ当時のマイルスバンド。プロデュースは当時、ロイ・ヘインズのヒップ・アンサンブルでアダムスとかピーターソンと共演していた中村照夫。当時からプロデューサー業をしていたんだ。
内容的にはA面が良い。グロスマン・バンド的な内容で、「穏健改革派」的な彼のテナーを愉しむことができる。勿論、コルトレーン的ではあるが、テナーのず太い音響が満ち溢れる。コリアは控え目、なのが良い。過剰なリリシズム、のようなものがなく、巧い。
B面はコリアの曲で、もろに後のサークルへの習作。空間的な音の広がりを点描のように描こうとしている。しかし、グロスマンのテナーは太い楷書であり、点描、ではないのだ。またデジョネットも多少違和感がある。そう、より観念的なブラックストンとか、より打楽器的なアルトシュルとする必然性とか狙い、のようなものが何となく分かるのだ。面白い。
Instagram post by Ken • May 16, 2018 at 10:44pm UTC
CHICK COREA - The Sun 1970 [full album]
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Chick Corea: The Sun (1970, Express)
A1. Moon Dance (S. Grossman) 6:42
A2. Slumber (D. Liebman) 11:13
B1. The Sun, Part 1 (C. Corea) 9:03
B2. The Sun, Part 2 (C. Corea) 2:34
B3. The Moon (C. Corea) 6:04
Chick Corea(p), Steve Grossman(ts), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds), Steve
Producer : Teruo Nakamura
Recorded at Up Surge Studio, New York City, September 14, 1970