K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Herbie Hancock: Inventions and dimensions (1963) ハンコックにはトリオ演奏がほとんどないが

Herbie Hancock: Inventions and dimensions (1963/ BST84147=> 2019/0802772, Blue Note)
 A1. Succotash (Herbie Hancock)
A2. Triangle (Herbie Hancock)
B1. Jack Rabbit (Herbie Hancock)
B2. Mimosa (Herbie Hancock)
B3. A Jump Ahead (Herbie Hancock)
Herbie Hancock(p), Paul Chambers (b), Willie Bobo(ds), Osvaldo "Chihuahau" Martinez (perc)
Recorded by Rudy Van Gelder at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey
Recorded on August 30, 1963.
LP Mastering: Kevin Gray
-----------------------------------------------------------------
これはLiberty RVG盤とKevin Gray盤(EUプレス)の聴き比べ、と思ったが、音質よりも演奏の良さに気持ちを持って行かれる。

ハンコックは不思議なほどピアノ・トリオでの録音が「ない」奏者。日本制作盤が1枚だけじゃないかな。あとはブートで少し(これが良い)。同時代のキース・ジャレットやチック・コリアとそこが大きく違う。

そんななかで、Speak like a childは、ピアノ・トリオ+ホーン、このアルバムがピアノ・トリオ+打楽器。このアルバムがピアノ・トリオに最も近い。そして、それが痺れるほど格好良いのである。音を比較することも忘れ、アバンな雰囲気を醸しながら叩き出されるフレーズをひたすら聴いている。ウィリー・ボボが、こんなに良いドラマーだとは知らなかった。

さて音だけど、ピアノの音が冴えない(と思う)ブルーノートにしては良い。さすが Kevin Gray盤と思ったが、Liberty RVG盤も同等。この盤はブルーノートにしてはピアノをちゃんと響かせている。打楽器やドラムのシンバルの音のキレはKevin Gray盤かな。

 

[2013/01/24] 浅ハカだけど少しだけ満足

 テキサス・オースチンから帰ってきた。時差ボケありなので、早々に帰宅。そしていつものようにLPレコードが届く。

 今日届いたのはハービー・ハンコックの Inventions And Dimensions。オークションで「オリジナル」と書いてあったのを早合点で飛びついた。案外安かったので。

 手にしてみると、BLP4147でなく、リバティ売却後のBST84147。値段からするとやっぱりね、ということで、あまりがっかりはしなかったけど。リバティ盤なので、オリジナル盤とは言い難いだろうね。1960年代後半のプレスだろう。それでもボクが買いはじめた1970年代後半になるとリバティはUA傘下となり、もうあのレーベルではなかった。だから、リバティ盤とは云えども、あのレーベルを見ると嬉しくなった。

 駄耳なので当時の米盤に関し、その後の日本盤との音質での違いはよく分からない。まあ半分は気分かなあと思う(誰かBLPとBST、そしてキング盤あたりの日本盤との音の違いを教えてください)。CDと比べると、それは明らかにCDの方がクリアで高音質、原音に近いのだろう。しかしLPレコードの音がつくる雰囲気がぴったり気持ちに合う。ヴァンゲルダー録音の芳香が強く、確かに酔える。いつも思うのだけど、あの抑えたようなイコライズがブルーノートの音そのものじゃないかな。だからCDですっきりとした音にした瞬間にブルーノートの少々鬱屈したような、小難しい感じが消えてしまう。だからLPレコードなんだな、って思う。

 何にも増してジャケット写真が格好良く素晴らしい。ピンがカチッと合っていてreprintのボケはない。浅ハカだけど少しだけ満足した。

 肝心の演奏なのだけど、彼のBlue note吹き込みで数少ないホーン抜きの録音じゃないかな。だから、ピアノをたっぷり聴きたいという気持ちにぴったり。打楽器が入って、強いラテン色かなって思っていたのだけど、そんなことはない。アクセントという言葉がぴったりな役割で、それが格好いいモーダルな演奏。ハービーらしい音造り。凡百のピアノトリオと異なるオリジナリティを感じさせ、ドライヴ感覚に溢れている。何回もターンテーブルに買ったばかりのLPレコードを載せてしまった。ブルーノートに手を出すとキリがないのにね。

 

------------------------------------------------------------------------------

Herbie Hancock: Inventions And Dimensions(1963, Blue Note)
   A1. Succotash
   A2. Triangle
   B1. Mimosa
   B2. A Jump Ahead
   B3. Jack Rabbit
Herbie Hancock(p), Paul Chambers(b), Willie Bobo(ds, timbales), Osvaldo "Chihuahau" Martinez (perc)
Blue Note BST 84147