K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・坂をめぐる小雨まじりの宵


長良坂を下って,上菊橋をのぞむ.
−−−−−−−−−−−−−−
金沢に引っ越して来てから10ヶ月.随分あちこちと歩いたり,走ったり,呑んだり,食べたりしたものだ.とても時間の流れがゆっくりだし,本当に気持ちがいい日々を過ごしている.金沢を歩くと辻から辻へと辿るなかで,景色が気持ちが追いつかない程変わったり,進む方向をいつのまにか間違ったり,曲がった後いきなり空気や光が変わったり,安穏と道のりを楽しみつつも小さな驚きが次次とあらわれる.晴れていても,雨であっても.たかだか3kmから4km四方の空間に様々な大気,水,風,木々が箱庭のように詰め込まれている.それを覘き歩くボク.

日曜は夕方から雷がひかる中,瀧のような雨が過ぎて行った.でも気温は下がらず,湿度も下がらず,ねっとりとした大気が広がっていた.そんななかで,すっかり暗くなってから歩き始めた.寺町台地のうえから,ボクのお決まり「長良坂」を通って犀川へ下る.いつものようにお地蔵様に手をあわせた.

上菊橋を通って古い町並みを眺めながら笠舞の猿丸神社を通り「めぐみ幼稚園」に.ここの園庭の櫻は立派で,青々とした櫻のもとで小雨交じりの風に吹かれると楽しい気持ちになった.教会の塔がなんともチャーミングだ.



このあとは笠舞のお地蔵様の横を通って「亀坂」に.このあたりの地形は谷あり崖ありで見飽きない.谷底を這い上がるような感じで小立野にあがる.朝は金沢商業の学生が自転車を喘ぎながら漕いでいるような明るい坂だけど,雨の宵は深い淵の底に耽溺しているような面持ち.



小立野に上がってからは,福光屋を過ぎた後に路地に入る.目的地は慶恩寺.この春に石引の表通りを散歩したときに,不意に引っ張られるような感じで行った場所.大きな枝垂櫻があり,葉桜もまた凄みがある迫力.来年の春が待ち遠しい.


その後は台地の犀川側の縁に沿って歩き,大乗坂から本多町におりた.大乗坂あたりの木々の力の強さには驚いてしまった.街灯に照らされる坂が薄暗く光っている.雨の日はだから面白い.



その後は21世紀美術館を通った.不思議な灯の配列がどこか眠たくなるような景色を作っていた.

 

それにしても21世紀美術館で最も美しい展示物は建物そのものじゃないかなあ.

 

長い散歩犀川大橋を渡ると終わり.薄暗い灯がとても素敵な犀川大橋はとても好きだ.