K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

András Schiff: Schiff plays Bartok

Schiff András: Schiff plays Bartok (1993,DENON)

1. Dance Suite, Sz.77
2. Roumanian Folk Dances, Sz.56
3. Three Rondos On Folk Tunes, Sz.84
4. Hungarian Peasant Songs, Sz.71

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先日、大量に買ったCD/LPレコードのなかの1枚。とりあえず20世紀だからBartokだよな、と演奏者も知らずに買ったCD。中古CD/LPコーナーでBartokのピアノ曲を探したのだけど、案外なくて、ようやく見つけた一枚がこれだった。なかなか演奏も録音も気持ち良くて、昨日一日で3回も聴いてしまった。

Bartók Béla。姓はBartókで、名がBélaで東洋と同じ並びで中欧にあるアジア起源の国ハンガリー。Belaはボクの知人にもいて、ハンガリー動乱時に米国移住したと言っていた。一般的な名前のようだ。Bartokの生まれはドラキュラのトランシルバニア(ここは永らくハンガリー領であったが、第一次世界大戦でのハンガリーの敗戦でルーマニア領になっている)。南ウクライナの遊牧地帯やコーカサスと地続きであり、アジア系遊牧民(フン、マジャール、ブルガル、ハザール)が駆け抜けている地帯。民族音楽の起源の豊かさがうかがえる。

このCDではBartokの20世紀初頭の曲が中心で、第一次大戦前のハンガリーで採集した民族音楽の成果が反映されているのだろう。民族音楽の旋律を基調とした魅力的な曲が並んでいる。とは云え、単純に民族音楽に聴こえる訳ではなくて、むしろ現代的な鬱屈した空気が流れてくる。メロディは分散し、曲の統一的な印象は薄い。時々刻々変わる音や音の流れの色彩れを楽しみ、不思議な音の散乱に驚くような感覚。

ジャズのようなあからさまなビートは付与されていないが、内包するリズムのドライヴ感、リズムからリズムへのギアチェンジ感は十分。ジャズ好きであっても受容性十分な内容じゃないかな。

まだ聴いていないのだけど、Bartok Plays Barrokという、Bartok自身が晩年に米国で吹き込んだLPレコードも一緒に買ってあるので、聴くことがとても楽しみ。

シフの演奏も、音の塊になっているトコロでやや苦しい部分もあるけど、十分気持ちよく聴かせてくれる。もっとも、曲に惹かれているのか、演奏者に惹かれているのか、よく分からない初心者なのだけど。録音の良さもピアノの聴こえ方に大いに加担しているように思う。
このSchiff、「ECMレーベル」のNew seriesから何枚かリリースしている様子。ECMの録音で聴いてみたくなった。これも困ったことだ。