K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Fred Hersch, Norma Winstone: Songs & Lullabies (2003)

Fred Hersch & Norma Winstone: Songs & Lullabies (2003, Sunnyside)
   1. Longing
   2. Stars
   3. A Wish
   4. Lost In Another Time
   5. Songs And Lullabies
   6. Spirits
   7. The Eight Deadly Sin
   8. Bird In The Rain
   9. To Music
  10. Song Of Life
  11. Invitation To The Dance - 5:37
Fred Hersch(p), Norma Winstone(voice)
Partially Gary Burton (vib)

 この数日の晴れ方は可笑しくなるくらい素晴らしく、全くもって金澤らしくない朝を過ごしている。気持ちはいいのだけど、空が単調で面白くない。

 なんとも片付けなきゃいけない仕事が多くて、(少ししか)呑みに行けないし、走ることができない日々。朝から夜半前まで仕事場。だからせめて通勤くらい楽しもうと、通勤路を変えて、犀川南の農村地帯だっと処を歩いて通っている。真っ直ぐな道がなくて、曲がる度に違った光景。路地の真ん中に座り込んでおもちゃを広げている子供がいたり、深い暗渠のような小川があったり。

 そして歩きながら低い音で音楽を聴いている。音と路地の光景が代わる代わる気持ちを捕まえに来るので存外に楽しい。幾重にも広がる雲がないと、金澤って感じがしないので寂しいのだけど。

 今日聴いていたのはFred HerschとNorma Winstoneのデュオ。ともに透明度が高く、音の温度も低いのだけど、ヒトのココロに触れる部分は人肌の温もりがある。だからとても気持ちを落ち着かせることができる。Fred Herschの音楽は最近つと儚さが増してきて、消え入りそうな気持ちで聴いている。勿論、音以外のコンテクスト、死の病の発症、も十分作用しているのだけど。だけど、何かの拍子に明るい秋の空の元で聴いてみたら、不思議とぴったりだった。歩きながら、ゆっくりと気持ちが持って行かれる様が心地よい。

 通勤はちょうどCD1枚、案外長い時間を歩き続ける。ちょうど曲が終わった時、空を見上げた。東の医王山の向こうから真上を通って、西の小松の地平線に向かって天弧を割るような飛行機雲が走っていった。そのときの唐突な印象が面白くて、つまりHerschと飛行機雲がだぶって海馬体に書きこまれたということが変な感じで、またやってきた夕闇をみながら思い出していたのだ。