K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Kate Bush: 50 Words for Snow 冷たい雨のなかを歩いた後で

 最近は走ることよりも日々歩いて時間を過ごしたいと思っている。移ろう雲や翳りや光をみながら。飽きない。

 だけど今宵は冷たい雨が夜半前から降り始め、すっかり濡れ鼠になって帰ってきた。冬がはじまる。すっかりと冷え冷えとした気持ちになってしまった。

 そんな時候にあわせたのか6年振りにリリースされたケイト・ブッシュの新作が50 Words for Snow。(正確には自曲をカヴァーしたDirector's cutを昨夏に出しているのだけど)

 ジャズを聴きはじめる少し前、30年以上前に東京音楽祭か何かの映像をみて、その姿に惹かれた。少し年上のエロチックでエキゾチックな姿態。そしてエキセントリックな声にも。とは云えジャズに深入りして、ケイト・ブッシュのLPレコードは、ジャズのLPレコードと交換したのだけど。

 いつの頃か、前作Aerialのプロモーション・ヴィデオをみて、その音世界に再び惹かれてしまった。あのエキセントリックな声は落ち着きをみせていたのだけど、それはボクと同じ時代のAgingを経て行き着いたような感覚があって、なにかしら共感を感じたのだ。その後、実に6年振りの新作。24bit、96kHzの高音質音源をダウンロード購入した。

 前作Aerial以上に抑制的な音世界。何とドラムはSteve Gadd(前作にはEberhard Weberが入っていたのだけど)。灰色の冬の空、北陸にぴったりなのだ。きっと英国もそうなのだろうな。だから、濡れ鼠になって冷え冷えした気持ちの今宵に聴くと、本当にしっくりくるのだ。こんな美意識の固まりのようなアルバムを数年に1枚こさえるKate Bushって何だかすごいなあ、と改めて思いながら、時間を過ごしているのだ。外はまだまだ冷たい雨。明日はどうなのだろうか。

 

プロモーション用アニメーションはこれです。