K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Brad Meldau: Largo

Brad Meldau: Largo (2002, Nonesuch)
   1. When It Rains
   2. You're Vibing Me
   3. Dusty Mcnugget
   4. Dropjes
   5. Paranoid Android
   6. Frankli Avenue
   7. Sabbath
   8. Dear Prudence
   9. Free Willy
  10. Alvarado
  11. Wave/Mother Nature's Son
  12. I Do
Brad Mehldau (piano), Larry Grenadier (bass), Matt Chamberlain (drums)
Steve Kujala, David Shostac (flutes), Jon Clark, Earle Dumler (oboes), Gary Gray, Emile Bernstein (clarinets), Peter Mandell, Rose Corrigan (bassoons) 

 先週末は関東へ出張した。土曜日は走ったり、ディスク・ユニオンに行ったり、ミッシェル・ベロフを聴きにったり、大わらわの一日。さすがにアホやなあ、という慌ただしさ。

 ディスクユニオンでは、ジャズ、クラシック、南米モノあわせて十数枚のCDを手にしてご機嫌。やっぱりレコード屋は楽しいね。Brad MeldauのLargoは格安だったので、テキトーに買った一枚。

 その昔、評判だったIntroductionを聴いて、なんとなくピンとこなくて、やや奇抜な印象だけが残って、後は全く手にしていなかった。ここ1年、クラシック系のブログで取り上げておられたメルドーの記事を拝見し、ソロ・ピアノから入手してみたのだけど、驚くほどよかった。そんな訳で最近のModern Musicに至っては豪速球で気持ちの中心にアテられて嬉しい悲鳴状態だった。だけど、トリオとかそれ以上の構成には全く触手が動いていなかった。

 だから格安だから手にしたLargoを期待しないで聴いて、すっかり参った。今更ではありますが、食わず嫌いやったねメルドー。考えぬかれたような緻密な音世界とその上で折り重なるピアノの絶妙なアンバイ、ジャズ的な奔放さと見せかけた精巧な音の組み立て。聴きだして止まらない。多分、コノ奏者に感じた違和感は緻密さへの無意識の反発じゃなかったのか。今になって、この緻密さが創りだす音の美しさとか、世界観がとてもしっくりくるように感じるのは何故だろうか。ピアノ・トリオを軸にしたアンサンブル、21世紀のSpeak like a child、というべき新しさを発散させる薫りに参ってしまったのだ。

 何を今更、って云われてしまいそうなウブな感想ではありますが、苦手なニンジンを好きになった子供みたいな独白といことで、今宵は勘弁くださいまし。