K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

犀川河畔の春:「酒と人情料理 いたる」の花見


 金沢の春は存外に寒く、ボクのなかでは違うジャンルの「春」のように打ち込まれている。感覚的には。

 勿論、花が咲き山々の雪が溶け、確かに春なのだけど、ボクが知っている春はもっと纏わり付くような粘着性があって、そののっぺりした大気が春そのもの。

 もう4度目の金沢の春なのだけど、冬の暖かさと対照的に春の寒さには未だに違和感がついてまわる。

 いつの年からか、犀川河畔での「酒と人情料理 いたる」(金沢・柿木畠)の花見にお邪魔している。いつも肌寒さが気になっていたのだけど、今年は日中20℃を超える好天。すっかり嬉しくなってしまった。

 河畔から見上げると富山との県境の白い嶺が見える。そして激しい水流がほとばしる。ただ酒を呑みながら、ゆっくり宙を見る。それ以上の幸せありや?

 いつも酒場で一緒になる淡い顔見知りたちを眺めているうちに、ゆっくりと迎える夕刻の気配の楽しい寂しさには惹かれてしまう。赫みを帯びはじめた川面に影のように浮かんだ人たちをいつまでも見ていたい気分だった。

 いたるさん、お疲れ様でした。ありがとう。