K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・竪町「Exile Records」LPレコードの海に沈められる


 竪町商店街のオヨヨ書林のうえに中古レコード屋があるとは知らなかった。近所のS君から聴いてはいたのだけど、どうもピンとこなかった。知ってから何回か出かけた。店頭の山のようなレコードを繰ると、確かに珍しい盤が多い。オリジナル中心の中古レコードということらしいが、どうも盤の価格が高い。ボクの購買ゾーンからハズれている。そんなことで、どうも距離感があって、手が出なかった。

 先週、照葉の15周年記念の宴会のあと、オヨヨで本を抱えた後、ふっと入った。そのときも印象は変わらず、ジスモンチのLPレコードを一枚買っただけだった。そのとき、店主から「webも見て下さい」との一言も気に留めてはいなかった。

 昨日、ふっとそれを思い出し、webを開いてみた。マイルスの遺作Doo-bopが眼に入った。1991年のアルバムでCDの時代。でもLP時代の最終期の雰囲気は十分残っているだろうと思い、気になってしまった。そんな眼でみると価格は、そえなりに納得性があるではないか。あわせて1950年代から1960年代のマイルス(オリジナルのようにも見える)も手頃な値段で出ている。Doo-wapの取り置きと、他のアルバムの素性を問いあわせた。何時間か経って、Round about Midnightはsecond press、Four and Moreはオリジナルとの回答。音質の違いが気になったので、手持ちのLPレコードを持って行くことにした(友人達とのジャズを聴く会でFour and Moreを取り上げたのだけど、そのオリジナルが気になった)。

 結論から云うと、店主の村田さんの圧倒的なレコード知識と、棚から出てくるレコードの豊かさに殴られてしまった。その場で同じ音源のプレスの違いでの音を聴き比べたのだけど、確かに違う、ということが理解できた。

 結局、4枚購入。大好きなDenny ZeitlinのCathexisが手に入ったのが望外の喜び。これもColumbiaのオリジナル。とても好みに合う音(やや硬質なピアノ)で、とても気持ち良い。マイルスのDoo-bopは狙い通り。CDではキツメの打ち込みの音が柔らかく、LPらしい音。Four&Moreについては、別途書きたい。あとJoni MitchelのBlueも米盤らしく、すかっと抜ける音が好みで、なんかとても豊かな気分になってしまった。

 さて、この店の良さは、S君からコトバで何回も説明を受けたのだけど、良く分からなかった。ただ、店主の村田さんと話せば分かる、ということだけが印象に残った。S君の云う通りだった。欲しいオト、関心のあるオトを告げると、そこからLPレコードの海に沈められる、のだ。そんな休日がとても楽しい。