K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

京都のレコード屋:最終到着地に着いたような幸せな時間


 仕事で頻繁に渡米していた頃、機内での会話でfinal destination(最終到着地)を聞かれた。長距離を何便か乗り継いで何処かへ行く米国らしい会話。何時間も機内で過ごした後、final destinationに着いたときの開放感は何とも心地よく、幸せな気分となる。

 この数ヶ月、古いLPレコードの音の良さを知り、少し集めはじめた。だけど価格的なこと、あるいは欲しい盤がなかなか入手できない苛立ちなど、集めて聴く楽しみと同時に、なんとも云えない茨のようなものも感じていた。なかなか気分に合うレコード屋が見つからない。そのなかでお茶の水や新宿のディスク・ユニオンは在庫量の多さで、なんとも魅力的なのだけど、でも良いプレスは限られていていて何ともモノタリナイ。

 今日はじめて出かけたレコード屋は京都の真ん中なのだけど、最終到着地に着いたような幸せな時間を過ごした。欲しいレコードが、痒いところに手が届くように揃っているのだ。残念ながら、移動時間の合間に出かけたので、僅か45分程度の滞在だったのだけど。また行きたい、と思う。

 (あまりに嬉しかったので、レコード屋の名前は書きたくない。)

 ビル・エヴァンスのオリジナル・プレス2枚。CTIのMontreux II(左)はヴァンゲルダーの録音。Montreuxは3枚あるのだけど、オリジナルで揃った。どれも録音の良さで知られる。RiversideのWaltz for Debby(右)はやっとモノラル盤を入手。京都なので清水の舞台から飛び降りた気分。

 ソロのモンクを聴いていると、打鍵がふらついていて、平衡感覚がおかしくなる。それが気持ち悪くてキライという人と、気持ち悪いからスキダという人に分かれる。ボクは後者。コロンビア盤(左)は2eyeレーベルのオリジナル。Riverside盤(右)もオリジナル盤。ともに録音の良さに大期待。ゴツゴツとした打鍵から飛び散る音の破片が、足穂が書き散らす星屑のように虚空に消えていくのが見えるから。

 これらはPrestige系の名盤を安価な再プレス盤で入手。ただし、ともに録音者のヴァン・ゲルダー自身がカッティングしたもので、盤にRVGの刻印が入っている。だから、まあそれなりに良い音だろうと判断しているし、その考え方で入手した盤は確かに良い音なのだ。マイルスのRekaxin'(左)は言わずもがなの名盤。ヴァン・ゲルダーのカッティングで聴きたかった。ロイ・ヘインズのWe three(右)は録音で定評があるNew Jazzの再発。針を落とすのが楽しみ。

 最後はランバート・ヘンドリックス&ロスのヴォーカリーズ。World Pacifficから出ている盤は知らなかった。持っているColumbia盤より共演者が豪華。ラス・フリーマンのピアノ、ズート・シムスのテナー、ジム・ホールのギター。でも一番驚いたのはベイシー楽団のフレディ・グリーンのギター。素晴らしいリズム。店主から勧められて、つい追加してしまった。

 あー、まだまだ買い残したアルバムがある。そんな気持を残して、仕事場へ走った。大阪だったからね。