この数日は桜に狂った日々を過ごした,と云うより,この瞬間を求めて金沢にやってきたのである.この瞬間のために金沢の坂,辻を歩いたり,走ったりしたのだ.
一夜め:夜桜(犀川から浅野川)
二夜め:お客と宴席(これも犀川から浅野川)
三夜め:卯辰山+夜桜(兼六園,犀川,笠舞)
という,なんかとんでもない夜なのです.
一夜の夜桜は犀川から浅野川の桜をなめる計画.先週の下見の成果披露.
金沢らしからぬ大晴天.夕刻が近づくと,緑とも蒼とも云えぬ光になってきて,なにか素晴らしい夜になる予感に満ちてきた.メンバーは私,Kさん,Qさん,Iさんの4人.二人は生粋の金沢,Kさん20年,僕は半年強という新米という編成.夜桜追い求める気持ちはピッタリ方向が揃っていて,驚いた.
さてコースは
(1)犀川桜橋を起点にW坂で寺町にあがり桜坂でおり,犀川河畔を犀川大橋へ
(2)寺喜屋さんで食事(っていうか一献):これは別途ね
(3)犀川大橋を渡って,室生犀星の碑を通って上菊橋まで犀川河畔
(4)笠舞の猿丸神社から金沢めぐみ幼稚園の園庭で花見
(5)石引温泉から白山坂の旧道あがって石引の慶恩寺で大きなしだれ桜をみて
(6)兼六園上から八 坂を下って,賢坂辻から材木町とおって天神橋で浅野川河畔へ
(7)浅野川をうめのはしで渡って”れのん”で休憩.
(8)東の茶屋街から主計町をとおって 彦三あたりの花屋さん(Iさんのお店)で一服.
ここで解散したあと犀川南の自宅までという,とてもとても長い一日.朝からの累計歩数が3.4万歩という新記録.(1)から(8)はだいたい5kmくらい.
という訳であとは,写真でコースをたどるが,残念なことにポケットカメラでは暗くなるとあきません.
(1)犀川桜橋を起点にW坂で寺町にあがり桜坂でおり,犀川河畔を犀川大橋へ
17時に集合.僕の出発点はW坂のうえの公園.犀川河畔から金沢城下一望.犀川は瀬の音が大きく,寺町台地のうえでも川をみおろす場所では,気持ちのよい程,大きな音がする.風が吹く.ここで桜橋からあがってきたひとたちと落ち合う.見下ろすW坂には大きな桜の木がからみつくように花を咲かせていた.このあと迷路のような,いや寺町の路地という名の迷路を抜けて桜坂のほう へおりた.
(2)寺喜屋さんで食事(っていうか一献)
寺喜屋で暮れ行く犀川大橋をみながら呑むのが本当に大好き.刺身は相変わらず美味く,筍の煮物がよかったなあ.それは別途ね.杯を傾けているうちに,犀川大橋の灯がともる.
(3)犀川大橋を渡って,室生犀星の碑を通って上菊橋まで犀川河畔
寺喜屋で長尻.楽しい会食になって,ずいぶん暗くなってしまった.再出発は19時すぎ.気温がますます下がって冬なみだったようだ.犀川大橋を渡って上流にむかって歩く.写真は室生犀星の碑あたりの桜.花見をやっていたのはさすがに一組.寒そうだったなあ.皆さん,縮こまっていましたね.
桜橋を過ぎると街灯も疎となり暗くなってくる.歩く道すがら,ぽつぽつと闇に桜が浮かんでは消えていった.子供の頃覗いた幻灯機の,コマ落としの画のように見えては消えて.
(4)笠舞の猿丸神社から金沢めぐみ幼稚園の園庭で花見
上菊橋から犀川を離れて,笠舞のほうへ古い路をたどる.皆さん,食べ物屋には詳しい.ステーキ屋”ひよこ”は名店だそうです.
キリスト教会の看板をまがって金沢めぐみ幼稚園の園庭にお邪魔する.ここは,教会の十字架のもとの小さな桜空間.桜に囲まれて暫しの歓談は愉快.ライトアップされている訳じゃないので,写真には写らないが,桜のつくる大気はとても柔らかい.寒かったけどね.だから酒を呑んでも酔わないのでした.暗くて写真は駄目だったので,先 週の下見をみておいてください.
(5)石引温泉から白山坂の旧道あがって石引の慶恩寺で大きなしだれ桜
白山坂の旧道をあがったあたりで迷って,くねくね路を歩いて石引の慶恩寺(先 週の下見の枝垂れ桜.とても立派)へ.立派な枝垂れ桜を再び拝見.
八 坂のうえは料理屋さん.ライトに浮かぶ桜が綺麗だった.坂の下は暗くてお寺.なんか不思議な空間に降りた感じで,次の課題.
(7)浅野川をうめのはしで渡って”れのん”で休憩.
浅野川のあたりの照明は犀川とはちがって紅がはいっている.とても艶っぽいのだ.うめのはしがそのひかりのなかに浮かんでいるのです.
(8)東の茶屋街から主計町をとおって花屋さん(Iさんのお店)で一服
リアルに眼に見える東の茶屋街もこんな感じで...
最後は近所の花屋さん(Iさんのお店)で一服じゃなくて一献.街の桜花も素晴らしいのだけど,古い薬屋さんの造作を生かしたお店のなかで静かにオーラをだす花に囲まれて呑む一杯,眼が醒めましたよ.Iさんありがとう.
という,本当に長い長い一日だったのです.浅野川近在から片町SPCEでちょっと給水し,帰ったら日付も変わって随分なものでした.