まちがいなく、過去のボクが手を出さないアルバム。バリトンとトロンボーンだもんね。バリトンはジョン・サーマンのみ。トロンボーンはなし。いや、ジョージ・ルイスくらいかなあ。両方とも、概してキレの悪さが気になる楽器。
で、吉田隆一については、「あの」新垣氏とのデュオでいいなあ、と思った。バリトンをテナーやソプラノのような音を出すサーマンと違って、バリトンらしい音で味を出す「作曲の妙」がすこぶるいい。日本のジャズのお気に入りの一枚だった。
勿論、新垣隆の透明度が高く、粟立つような、美しいピアノも、作曲であたかもアヴァンギャルド・ジャズのような味を出す、吉田隆一の作曲の力にも驚いたのだけど。
という訳で、やはり田中啓文本で知った「black sheep」なのだけど、期待と違わない音世界で、N/Yと共通する音の世界に大満足。録音もクリアだし、やや奇妙な味わいがおいしい。
何となく、原田依幸に近い位置のピアノと理解しているが、(今まで)あまりすっと気持ちに入ってこなかったスガダイローなのだけど、このアルバムはピアノの強靱なタッチだけでなく、音響的な良さ、が届いた!
という訳で、かなり好みの味なので、しばらく聴き続けるだろうなあ。
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blacksheep: ∞ -メビウス- (2013, velvetsun)
1. SLAN
2. 屍者の帝国
3. J・S・Bach" コラール・プレリュード/イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ(BWV 639)"(映画『惑星ソラリス』より)
4. たんぽぽのお酒
5. J.G. バラード組曲" 終着の浜辺"
6. J.G. バラード組曲" 時間の庭"
7. J.G. バラード組曲" 結晶世界"
8. アンドロイドは電気黒羊の夢を見るか?
9. 微かなる陽のきざはしの記憶
吉田隆一(bs), 後藤篤(tb), スガダイロー(p)