K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

10月9日の夜

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連休を利用した登山の企画・引率(?)役だったので、通夜・告別式は失礼した。不思議なタイミングで弔問へ行く途中の友人にピックアップしてもらうことができ、通夜前日のお別れができた。(連れて行ってくれた、Kさんに感謝します)

昨夜、通夜の後に開いたという店の灯は消えており、泉野出町の体育館裏は本当に真っ暗。クルマを止めて暫く眺めていたら、通行人が覗き込んでいった。奇妙な感じ、がしたのだろう。静かだ。

2010年の春頃から夏にかけての喧噪、を懐かしく思い出した。同じメンバーが連日のように、憑かれたように遅くまで呑み続けた。何か特別な場所になった、ような感じだった。そして夏が終わると、静かにおさまっていった。

7年前の今頃、この夏は何だったんだろうね、と亡き店主と静かになった店で話したのを思い出した。確かに何かが舞い降りて、そのときに居合わせた客にとって特別な場所になった数十日だった、のだと思う。

誰かが云ったのだけど、ここはバーじゃない、Nさんち、なんだ。バーにしては酒の種類は少ない。年下の客は「**君」呼ばわり(ボクは何故か大学の後輩でもあるのに、「さん」付けだったけど、何故だろう?)。それに何故かいろんな客が手土産を持ってくる。最初は変な感じだったのだけど、Nさんち、であれば合点がいく。

ボクは彼がかけてくれるレコードが好きで来はじめた。そう、Nさんち、でレコードを聴いていたのだ。そうこうしているうちに、金沢での知り合いが増え、知らない土地、ではなくなったように思う。ありがたいことだった。

2010年の8月には、Nさんを含め、そんなメンバーで白山に登った。膨らんだ菓子袋を嬉しそうに見ていたり、室堂でビールを呑んだ後に向かった山頂への道のりにヘバったり、していたNさん。

金沢に移り住んで、はじめに住んだ安アパートの近所、それも通勤路の途中に「Nさんち」があったのは偶然。夏の暑い時期、冷房機でもなかなか冷えない部屋を抜け出して遅くまで呑んでいた。そんな頃が懐かしい。少し離れた場所に引っ越してからは、そんな感じでは行けなかったのだけど。

女性客が多いと、ボクらのようなオッさんのオーダーを取り忘れる酷いバーで、怒って帰ったことも何回かあったのだけど、それすら懐かしい。灯が消えてしまうと、怒ることすらできない。そんな、こんなことが昔話になってしまうこと、が実に耐えられない。

そんなことを思いながら、真っ暗な店を後にした。さようなら。ありがとう。