K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Herbert Henck : John Cage/ Music Of Changes (1982) アイヒャーの残響という添加料に馴らされた耳には

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 最近もアップしたのだが、ECMでのヘンクのピアノが好きだ。硬質の音であり、その心持ち冷たい音の静かな快感は、今ぐらいの季節に気持ち良い。

そのヘンクのECMではない、ケージの曲のレコードを入手した。ジャケットには「録音優秀賞?」的なECMでおなじみの表彰ステッカーが貼ってあって、そそられたのだ。

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打楽器的なピアノ、というとセシル・テイラー的な打鍵を想起するのだけど、そうではない。ピアノという木と金属の構造物に対し、それが木であり、金属であるということを強く感じさせるような、もっと非ピアノ的な音(どうやって出しているのだろうか)を聴かせる。そのゴツゴツとした音が作る鋭角的な流れ、止まったり、尖ったり、が音響的な面白みを与える。

録音だけど実にdead。ECMの残響過多、と比べると、コツンコツンという音がする感じ。それが残響による丸みと対極的な尖った感じを与え、面白い。しかしアイヒャーの残響という添加料に馴らされた耳には、実に素っ気ない。だから、そこが面白かった。菊地雅章のblack orpheusでは強い違和感を感じたECMの音の操作なのだけど、それでも自分のなかに一つの基準として浸透しているな、と思わずにはいられなかった。


Cage:Music of Changes

Cage:Music of Changes

 

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Herbert Henck : John Cage/ Music Of Changes (1982, WERGO)
A1. Buch I 4:19
A2. Buch II 19:54
B1. Buch III 10:49
B2. Buch IV 11:35
Herbert Henck(p)