K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Keith Jarrett: Bop-Be

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Keith Jarrett: Bop-Be (1976, ABC Impulse!)
A1. Mushi Mushi (Dewey Redman) 5:58
A2. Silence (Charlie Hayden) 3:16
A3. Bop-Be (Keith Jarrett) 6:54
A4. Pyramids Moving (Dewey Redman) 3:46
B1. Gotta Get Some Sleep (Dewey Redman)11:03
B2. Blackberry Winter(Alec Wilder, Loonis McGlohon) 3:37
B3. Pocket Full Of Cherry (Charlie Hayden) 5:15
Keith Jarrett(p,ss,perc), Dewey Redman(ts,Musette), Charlie Hayden(b), Paul Motian(perc, ds)
Engineer [Mastering]: John Golden
Engineer [Recording]: Tony May
Engineer [Remix]: Barney Perkins
Producer: Esmond Edwards

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某人のtwitterをみて、久しぶりに聴きたくなった。

どうもアトランティック、コロンビア、インパルスでのキース・ジャレット・カルテット(ときとしてクインテット他)は苦手で、トラックが玉石混淆の印象がある。だからECMからの2枚での程よい編集、まとまりの良さを思うと、残念でならない。

このレッドマン、ヘイデン、モチアンのカルテットでのキースは、露骨な程のコールマンへの傾斜が見られるが、その高い目線と曲としての完成度が不均衡な印象があって、それがアルバムとしての質への疑問を生んでいる、ように思う。 

 しかし、このアルバムを30年以上ぶりに聴いてみると、そんな印象は微塵もなくて、オーネットへの憧憬が曲調に投影され、それをヘイデンの不気味な律動が増幅し、レッドマンが外郭を彩っていく。そんななかで安易な美音に頼らないジャレットの一音一音が浮かび上がっていく。

ECM的な美意識での等価処理を受けたECMのアルバムとは違う、もうすこし削り出しのカルテットの魅力に溢れている。このあたりが、このカルテットの最終到着地のようだ。圧倒的、ということもないのだけど、無視し得ない音楽の完成度を感じさせる。トリオの演奏での「奇妙な味」もそうだ。ジャズ世界での格闘の結果、なんだろう。

これらは1970年代で封印され、1980年代以降、キース・ジャレットはジャズの流れからは離脱し、隔壁のなかでの演奏を行っているように思えてならない。確かに、その後の所謂スタンダード・トリオもソロもクラシックも良いのだけど、単独での宇宙空間での遊泳。ジャズ世界での関わり、のようなものを喪失し、このアルバム(あるいは、1970年代までの一連のアルバム)のようなジャズの根源的な面白さを失っているように思えてならない。

バップ・ビー

バップ・ビー