[ECM 1050] Jan Garbarek, Keith Jarrett, Palle Danielsson, Jon Christensen: Belonging (1974)
A1. Spiral Dance(Keith Jarrett) 4:08
A2. Blossom(Keith Jarrett) 12:18
A3. 'Long As You Know You're Living Yours(Keith Jarrett) 6:11
B1. Belonging(Keith Jarrett) 2:12
B2. The Windup(Keith Jarrett) 8:26
B3. Solstice(Keith Jarrett) 13:15
Jan Garbarek(ts,ss), Keith Jarrett(p), Palle Danielsson(b), Jon Christensen(ds)
Design [Cover Design]: Tadayuki Naito
Layout: B/B Wojirsch
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Release: 1974
Recorded April 24 and 25, 1974 at Arne Bendiksen Studio, Oslo
https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750669/belonging-keith-jarrett-jan-garbarek-palle-danielsson-jon-christensen
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[2020-2-20]
先日、ヨン・クリステンセンが亡くなった。彼を知ったのは、大多数の方々と同じようにキース・ジャレットの所謂Europian Quartet。と同時に、数多のECMのセッションで影のように寄り添う彼のドラムがあった。背後で打楽器の音空間を張り、またスイッチを入れるとビートがせり上がってくる。
いつだったか、ライヴでPer Oddvar Johansenを聴いたとき、彼の繊細な打音のなかに、たしかにクリステンセンのEchoのようなものを感じた。北欧の大気のような冷たさ、と同時に打つ人の柔らかさ、のような。
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2016/03/28/061821
[2015-12-14] beyond freeの形
ECMのLPレコードの蒐集に意識が向いてから1年半くらいだろうか。その聴いた記録を残そうと思って、もうすぐ1年。ようやく50枚をアップ。ボクにしては根気が続いている。
このアルバムはキース・ジャレットのアルバムとして長く意識していたのだけど、改めてジャケットを見るとヤンからはじまり併記。レーベルはヤンとキース。そう、多分これはヤン・ガルバレクとキース・ジャレットの双頭、あるいはヤンのアルバムと云っても良い、のではないか。その意味では、ひとつ前にアップしたLuminessenceと同じ位置付け、キース・ジャレットの作曲によるヤン・ガルバレクのアルバム、とみても良いように思う。ちなみに有名なmy song(1978年)は明らかにキース・ジャレットのアルバム。クレジットが全く違っている。その後のケルンコンサート(1975年1月)のヒットにより、商業的な位置付けが変わった、のだろう。
だから、このアルバムもLuminessenceと同じく、キースの役割が「やや抑制気味」でヤン・ガルバレクのサックスの美しさを引き出す内容になっている。だから素晴らしいと思う。my songであったような「あれっ」というようなフリー的な逸脱はないからね。何回も何回も聴いたのだけど、本当に素晴らしいアルバム。beyond freeの形、を作っていることがハッキリ分かる。bopの跡継ぎでも、freeの次世代ではない、ナニモノでもなくてただ音がある感覚。曲を作った、というより、そのような新しいジャズの在り方の「うつわ」のようなものを作ったキース・ジャレットは凄い、と感じた。
1974年のこの時点で、ファンク・クロスオーヴァー的なものとは別に、beyond freeで透明感のあるジャズ、これらの形がはっきりしたのだなあ、と理解した。ECMの音に時間を超えた普遍性を与えているのは、このような感覚であるだろうし、それは即ち、stream的なジャズ史観を壊す「蟻の一穴」のようなものではなかったか。まだまだstream的な音の進化のなかにあったのだけど、ヴェクターが進化(stream)から深化に向かう、その流れをECMは確かに作ったのだと思う。
このアルバムはLuminessenceとほぼ同時期の録音で、Luminessenceが少し先に西ドイツで録音され、これはノルウェイでの録音。二人以外のメンバー(ストリングスは西ドイツ、とベース・ドラムはノルウェイ)の場所によるのだろう。4月末の相応の期間、キースとヤンは一緒だったようである。
参考記事:
https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2005/07/belongingkeith.html