K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Keith Jarrett: The Mourning Of A Star (1971)

名盤でも何でもないが、好きなアルバムだ。

キース・ジャレットの可能性が詰まったアルバムだなあ、と思う。26歳の奔放な彼。確かに星の煌めき、星夜のときめきのようなものを音にしようと奮闘している。

この後10年ちょっとで、ソロと(スタンダードの)トリオに活動を縮退させるのだから惜しい。

流星(SHM-CD/紙ジャケットCD)

流星(SHM-CD/紙ジャケットCD)

 

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2016年5月20日 記事 時の移ろい、重ねる齢

 時の移ろい、重ねる齢、を感じること多し。しかし、それを否定的に感じるのではなく、とても面白いことだと思っている。

 同じ本や、同じレコードであっても、30年を隔てれば、全く違う自分が接する訳で、そこにその時の移ろい、重ねる齢、の在り方を知って、笑ってしまうような感覚が楽しい。

 最近ECMから出たCDを何枚か手にしたが、何となく作り手の惰性を感じることが多く、なかなか気分を入れることができない。決してダメなアルバムではない。受け手の側が、マンネリのように感じて、面白く思えないのだ。

 で、これは最近、生エヴァン・パーカーでスイッチが入ったimprovised musicの嗜好と関連もしているのかなあ、とか、思いつつ、ECM以前のキース、ハタチ頃に合わない、と思ったアルバムを久しぶりに聴いてみた。それがコレ。

 実に面白い。純度が高いECMでのキースと異なり、奔放に音を楽しんでいる。その愉悦が直接伝わる。B1のジョニ・ミッチェルの曲が白眉。モチアンがコンガを叩くトリオ。ただし、キースのリコーダが重ねられている。爽やかこの上ないキースの詩情に暖かくなる。アルバムの至る所に、切れっ端のようなピアノの美音が振りかけてあるし、彼の音が後処理なしで詰め込まれている。濃い。

 この時期のキースはオーネットの影響が濃く、その味が飲み込めなかった、と思っている。だから、オーネットを楽しめる時期が迫っている、ことを感じながら、キースのおもちゃ箱、を存分に楽しんだ。

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Keith Jarrett: The Mourning Of A Star (1971, Atlantic)
A1. Follow The Crooked Path (Though It Be Longer)(Keith Jarrett) 6:15
A2. Interlude No. 3(Keith Jarrett) 1:13
A3. Standing Outside(Keith Jarrett) 3:21
A4. Everything That Lives Laments(Keith Jarrett) 2:14
A5. Interlude No. 1(Keith Jarrett) 1:38
A6. Trust(Keith Jarrett) 6:57
B1. All I Want (Joni Mitchell) 2:20
B2. Traces Of You(Keith Jarrett) 5:09
B3. The Mourning Of A Star(Keith Jarrett) 9:18
B4. Interlude No. 2(Keith Jarrett) 0:53
B5. Sympathy(Keith Jarrett) 4:33
Keith Jarrett(p, ss, recorder, steel ds, conga), Charlie Haden(b, steel ds), Paul Motian(ds, steel ds, conga)
Design [Album Design] – Ira Friedlander
Engineer: Lewis Hahn
Producer: George Avakian
Recorded at Atlantic Recording Studios, New York, N.Y.