K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Pat Metheny: From This Place (2020) それが成熟した完成度、ならばそうなのだろう

f:id:dailymusiclog:20200303224540p:plain

Pat Metheny: From This Place (2020, Nonesuch)
1. America Undefined 13:22
2. Wide And Far(Pat Metheny) 8:27
3. You Are(Pat Metheny)6:13
4. Same River(Pat Metheny)6:43
5. Pathmaker(Pat Metheny)8:20
6. The Past In Us(Pat Metheny)6:24
7. Everything Explained(Pat Metheny)6:52
8. From This Place(Pat Metheny)4:40
9. Sixty-Six(Pat Metheny)9:39
10. Love May Take A Whilev(Pat Metheny) 5:57
Pat Metheny(key, g), Gwilym Simcock(p), Linda May Han Oh(b), Antonio Sanchez (ds)
horns, strings
Producer: Pat Metheny
Co-producer: Steve Rodby

-------------------------------------------------------

久方振りのパット・メセニーの新譜。評判良し、である。ボクも気にはなって、ストリーミングで聴いた。amazon musicのhigh resolution。なんか音が薄っぺらく、奥行きがないなあ。

なんだ、やっぱりストリーミングは駄目なのかなあ、とNonesuchのサイトでhigh resolutionファイルを購入。96kHz, 24bitで$11。もうCD時代が終わった、とはっきり認識。

しかし、実は購入ファイルを聴いても、そんなに音が変わらない。がっかり。

ここで気がついた。どうも録音媒体や再生の問題ではなく、音が薄っぺらく、奥行きがないように聴こえるのだ。今までになく(じゃないかなあ)、実に緻密に作り込まれたアルバム。アレンジにギル・ゴールドスタインをはじめ多くのスタッフを動員している。なにかキッチリと詰め込まれた石垣を見ているような、そんな印象なのだ。だから、すかっとした音空間(初期のPMG)や深淵なる音空間(例えばSecret story)のなかで、ふわっと浮き上がるメセニーがキメていくような感じ、が実に足りない。

それが成熟した完成度、ならばそうなのだろう。しかし、21世紀に入っても暫し、あの1970年代中頃に見せつけたあの透明な音世界、青っぽい若さと成熟した技巧、を感じさせたのだけど、この新譜では雲散霧消したように思える。息苦しいのだ。

Secret storyなんかも、実に作り込まれた音なのだけど、結構空きだらけで、だからこそ全てが彼のギターのための音になっていたのだ。だから軽く聴こえ、その跳躍に打たれた、のだ。

このアルバムには、かつての彼のアルバムでの音の断片を振り返るような趣向だ。ラリル・メイズもあの世にいった。ボクが大阪で聴いたPMGから40年以上過ぎた。依然、その時間の蓄積を聴かせ、彼への期待値、線形な関数だ、を裏切らない偉大さ、はわかっている。しかし、とうとうそのように感じた、ことは残念だ。

いや、数日後に、聞き直して、いやよかったよ、と思いたい、と感じている。だけど機会のオーケストラやUnity bandあたりからの帰結なのかなあ、とも思うのだ。

(それでも、レコード買うだろうなあ)

 

From This Place -Digi-

From This Place -Digi-

  • アーティスト:Metheny, Pat
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: CD
 
From This Place [Analog]

From This Place [Analog]

  • アーティスト:Metheny, Pat
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: LP Record