K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

John Coltrane Quintet With Eric Dolphy: The Complete 1962 Birdland Broadcasts ブート音質だがそれを超越した何か

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John Coltrane Quintet With Eric Dolphy: The Complete 1962 Birdland Broadcasts(1962,Gambit Records)
1. Mr. PC (John Coltrane)11:15
2. Miles Mode (Aka Red Planet) (John Coltrane)10:32
3. My Favorite Things (Richard Rodgers-Oscar Hammerstein II)18:52
4. Announcement By Symphony Sid Torin 1:01
5. The Inchworm (Frank Loesser)7:12
6. Mr. PC (John Coltrane)7:25
7. Announcement By Symphony Sid Torin 0:55
8. My Favorite Things (Richard Rodgers-Oscar Hammerstein II)13:17
John Coltrane(ts,ss), Eric Dolphy(as,fl,b-cl), McCoy Tyne(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)
All tracks recorded at Birdland, New York.
1-3: February 10, 1962 (Friday night after midnight)
4-8: February 17, 1962 (Friday night after midnight). Previously unissued.
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最近,一番聴いている音はこれ。1961年2月のバードランドでのコルトレーン・カルテット+ドルフィー。レコードではVee Jayから出ていたThe inner man。それにCDではトラックが足されている。Vee Jayから、といっても非公式録音、ラジオ放送からの収録のようだ。音質はImpulse!盤と比べるまでもなく、悪い。ブート盤そのもの。しかし、コルトレーンの非公式録音に共通する凄まじい熱気、に圧倒される。BYG盤、Pablo盤も似たような欧州ツアーの音源だが、やはり圧倒される。それは何だろうか。

このバードランドセッションを聴いて気がつくのは、コルトレーンのソロが公式盤と比べて激情的であり制御限界ぎりぎりのブロウを繰り返しているということ。その後のタイナーのソロがお決まりのように素晴らしい。エルヴィンのパルスもテンションが張り付いている。

ドルフィーとの共演盤では、それがまた極端に表れているように思える。明らかにドルフィーの音のダイナミック・レンジに追随しようと必死の形相、であることが分かる。ドルフィーはいつもの音で飄としているが、それをなぞるようにダイナミックレンジを広げようと必死のコルトレーンが続く、そんな感じ。その印象はCD冒頭の録音を聴くとよく分かる。レコードには収録されていない。

Impulse!盤のライヴでは、そんな雰囲気は感じない。お行儀が良いように思える。やはり収録中を強く意識しているのではないか。ヴィレッジ・ヴァンガードのcomplete盤を聴いても、そんな激情の演奏、は聴こえないように思うがどうだろうか。

音質だけど、CDよりはレコードのほうが好み。CDの場合、音の外枠のメリハリが強調されて、音の密度・分解能が落ちている印象。しかし、そもそもの演奏を愉しむ視点で云うと、CDで長丁場を大音量で聴く、そこではないか。コルトレーンの汗が飛んでくるのである。

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