K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Branford Marsalis: Trio Jeepy (1988) レコードで聴く

Branford Marsalis: Trio Jeepy (1988, Columbia)
A1. Housed From Edward (B. Marsalis) 9:27
A2. The Nearness Of You (H. Carmichael, N. Washington) 10:29
B1. Three Little Words (B. Kalmar, H. Ruby) 5:15
B2. Makin' Whoopee (G. Kahn, W. Donaldson) 0:40
B3. UMMG (B. Strayhorn) 7:19
B4. Gutbucket Steepy (B. Marsalis, J. Watts, M. Hinton) 6:27
C1. Doxy (S. Rollins) 7:57
C2. Makin' Whoopee (Reprise) (G. Kahn, W. Donaldson) 8:57
C3. Stardust (H. Carmichael, M. Parish) 9:07
D1. Peace (O. Coleman) 9:10
D2. Random Abstract (Tain's Rampage) (B. Marsalis) 8:00
Branford Marsalis(ts), Delbert Felix, Milt Hinton(b), Jeff "Tain" Watts(ds)
Engineer: Ben Rizzi
Mixing: Pat "E.Q." Smith
Mastering: Bernie Grundman
Produce: Delfeayo Marsalis
Executive-Producer: George Butler
Recorded at Astoria Studios on January 3 & 4, 1988.
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はじめてマルサリス兄弟を聴いたのはデビュー作。あれは今でも好きなアルバム。ちょっとオーネットのエコーのような印象もあって、それでいて若々しい音が吹き出す感じで。あれから40年。その後、ふたりともあまり聴いていないが、ブランフォードはずっと好み。2000年過ぎに大阪で聴いた記憶がある。Jeff "Tain" Wattsと一緒だったから、このアルバムの延長線のように思うが、もっと攻撃的だったような記憶がある。

このアルバムはなんといっても、ミルト・ヒントンの太いベースが大魅力。そのうえで、ゆったりと吹くブランフォードのテナーのシットリ感は何とも素晴らしい。

それにしても10年前の記事を読んで驚くのは、自分の失われた記憶。この頃には、まだ最初に買ったCDを覚えていたんだ、と唖然。記憶力だけでなく記憶も喪失しているのだと、息を呑んでしまった。

レコードで聴く本盤は、予想通り素晴らしい。技術が伸びに伸びたレコード最末期、それもコロンビア盤だもんな。昨今のレコード回帰のプレスより、明瞭でいいな。1989年発売のレコードは数が少なく、案外入手し難い一枚。価値あり。

 

[2011-5-12] 図太いMilt Hintonの音

これは初めて買ったCD。新譜で買ったから、もう20年以上前のこと。あまり装置めいたものに費用をかけていないので,CD再生機を買ったのもずいぶん遅い。このCDを思い出したのは,酒場でF氏とベース談義をしたとき。「図太い」しっかりしたベースが好きと云う彼の話で思い出したボクが好きなベーシストはスラム・スチュワート(ライオネル・ハンプトンのスター・ダストを聴くのはカレのアレがあるから)とミルト・ヒントン(このブランフォードのCD)。

新しく買ったCDを聴いて、レコード針のスクラッチ雑音がないことに驚いた。無音のなかから聴こえる図太いベースの音が妙に印象にのこっている。堂々とした不動のリズムも刻み続ける。

ブランフォードについては、先日出版された村上春樹の「雑文集」にもウィントン・マルサリスともども、例の偏狭な黒人音楽云々日本人云々の発言が取り上げられていて、抑制された文章だけど読むと少し寂しい感じが残る。ウィントン・マルサリスは何枚か聴いたけど手が出なくなった(面白くないから)ので気にもならない。ブランフォードは案外好きで、ライヴで聴いたときも素晴らしい緊張感にずいぶん痺れたからね。でもそんなこと、本当に云ったのかなあ。

まあ、そんなことを置いておいても、何枚か持っているブランフォードのアルバムは好きでタマには聴くのだけどね。