K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM1026) Stanley Cowell: Illusion Suite

Illusion Suite

[ECM 1026] Stanley Cowell: Illusion Suite
A1: Maimoun (Stanley Cowell) 7:48
A2: Ibn Mukhtarr Mustapha (Stanley Cowell) 4:45
A3: Cal Massey (Stanley Cowell) 6:02
B1: Miss Viki (Stanley Cowell) 5:21
B2 : Emil Danenberg (Stanley Cowell) 8:29
B3: Astral Spiritual (Stanley Cowell) 7:40
Stanley Cowell(p), Stanley Clarke(b), Jimmy Hopps(ds)
Artwork [Cover Art] : Grace Williams
Engineer [Mixing] – Rapp, Wieland
Engineer [Recording] – George Klabin
Layout: B & B Wojirsch
Photograph [Cover Photo]: Ed Sherman
Producer – Manfred Eicher
Released: 1973
Recorded on November 29, 1972 at Sound Ideas Studio, New York

https://www.ecmrecords.com/catalogue/143038750627/illusion-suite-stanley-cowell-trio-stanley-cowell-trio
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[2019-12-28]

その後、1970年代のジャズに気持ちが再び惹かれる、とともに、カウエルの存在感がボクのなかで増していった。Strata-eastの録音もそうだし、その前のFreedomも。マッコイ的なくどさ(嫌いじゃない)を削いだ、見通しのよい格好良さ、が好きだ。

ボクがジャズを聴きはじめた1980年頃にはその勢いを失いはじめた時期じゃないだろうか。2000年前後のヴィーナス盤でカウエルを聴いたときのは、内容のつまらなさと、タッチの明瞭さのアンバランスに驚いたが。

このECM盤はカウエルの良さは十分に捉えられていて、前回はそれがECM的な音から外れている違和感、を書いたのだけど、そんな「好ましいバラツキ」が1972年から1973年のECMの魅力じゃないかなあ。改めて聴き直すといいアルバム。

[2015-04-12] 違和感に違和感を感じる理由

昔から聴いている音を、再びある切り口で聴き直す、作業だ。今やっていることは。ECMという稀代のレーベルを順番に聴いていく、ということは、結局、アイヒャーを聴く、ということだから。今まで、そうではなくて奏者を聴いていくなかで、そのレーベルの統一的なイメエジを固めていく、流れの中にあった。今回は、時間の流れにのなかで、ECMの変遷を聴いている、ようなモノだ。 

だから、当然といえば当然なのだけど、昔からの好きだったこのアルバムを聴いたときの違和感に違和感を感じる理由、をしばらく(随分長く)考えてしまっていた。1970年代のECMは、今よりもフリージャズ/ロックに近接したような境界領域を攻めていたように思い、そこが好み。だから、このカウエルの幻想組曲は好みの中心であったし、そう思っている。なのに強い違和感。その違和感に違和感を感じ、長く困惑していた。

結局、録音が全くECMの音世界になっていない、のが原因じゃないか、ということ。初期の何枚かはともかく、音質がおかしい。A面3曲目のピアノの音が汚い。レコードの劣化、あるいはタマにあるレコード内周の劣化(長時間の場合、これは違う)かと思ったが、CDを聴いて、やはり駄目なことに気がついた。それからB面1曲目のベースの音量のバランス。大きすぎる。全くECM的でない。ニュー・ヨークでの録音をre-mixしているが、失敗している、と思う。初期のブレイの盤のように、持ち込みテープであっても(それどころか、Verveのジミー・ジェフリーすら)、ECM的に加工され、ある種も満足を与えていたことからすると、何なのだろうか。

結局のところ、ボク達が勝手に「ECM的」と捉えているものが録音そのもので仕上げられている、という当たり前のことを駄目な向きで証明していることになる。この違和感は、そんなことなのだろうと思う。想定外だたので、何日もプレイヤーやカートリッジを換えたり、端子を磨いたり。やれやれ。

演奏なのだけど、好み。カウエルの美的な部分と攻撃的な部分が程よく混ざって、ECM的な境界ぎりぎりまで広がっている。全てカウエルの作曲だけど、美しく攻めている。カウエルがECM的な音のなかで上手くプロデュースされている、と思う、演奏は。だからこそ、録音がとても残念。長い間、Boseのステレオ装置でCDを聴いていたから、気にならなかった、のだろうな。米的音のマッチングの良さ、で。ECMという視点でさえ見なければ、普通の録音なのだから。

改めて云うけど、いいアルバムだからこそ残念な違和感。

[追記] 工藤さんの情報では国内盤しかCDが出てない、とのこと。ボク的にはとても納得できるように思った。

 

工藤さんのブログ:

https://jazz.txt-nifty.com/kudojazz/2005/07/illusion-suites.html

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LC番号が入っているから1977年以降の販売

こっちにはLC番号は入っていない。Made in W.Germany
 Made in なし、がオリジナル